■バンジージャンプクイズで

 芸人の性か、作家の本能か。不正解すると、地上60メートルのタワーの上に設置された滑り台から落下する『バンジージャンプクイズ』で、「日本一大きな両生類は?」という問題に、ダンカンは「カルーセル麻紀」と答えて不正解。このクイズを考えたのは、他ならぬ、ダンカン本人だった。

「企画会議で『すべり台バンジージャンプ』を提案すると“太田プロの芸人ならやってくれるはず”と盛り上がったけど“命の危険があるから”と断られてしまって。テリーさんが“これをやらなきゃ世の中がおかしくなっちまうよ!”と叫んで、スタッフ全員も、こっちを見るから“僕がやりましょう”と」(ダンカン)

 もちろん、ふだんはバンジージャンプをやるような施設ではない。強風であおられたら、タワーに激突する恐れもあったという。

「インストラクターに“ロープがピンと張る感覚がしたら成功です。体をバタつかせたらタワーに叩きつけられます”と説明されました。僕の後にジミー(大西)ちゃんが落ちたけど、体をバタバタさせて“お蔵入り”。たけしさんはタワーについた血を見上げて“ジミーちゃん、埋めちゃえばいいか”って(笑)」(前同)

 第7回『お笑いウルトラクイズ』の冒頭で、たけしは「ギャラは出ません。お弁当が食える。バスに乗れる。あとオレに会える。これが特典です」と話したが、あながち冗談ではない。

「たけしさんの笑顔を原動力に、芸人は頑張っていたんです」(ダンカン)

 これには肥後も頷く。

「たけしさんを笑わせたくて、放送されないことは分かってても無茶しましたよ。オシッコをかけあったり(笑)」(肥後)

■バラエティでも世界制覇を!

 昭和・平成のバラエティ番組は、制作費を潤沢に使えて、コンプライアンスの制約からも自由だった。だが、ダンカンは「あの頃はよかった」とは言いたくない、という。続けて、「逆に、あの頃が夢で幻だったんですよ。いい時代を過ごさせていただきました。常々、たけしさんは“映像は言葉を超える”と仰っていました。日本どころか英語も通じない土地でも“くだらなければ、くだらないほうがウケるんだ”と」

 事実、『たけし城』は世界150か国以上で放送されている。映画に先駆け、バラエティ番組においても「世界のキタノ」なのだ。

「日本以外で『お笑いウルトラクイズ』を放送したいんです。ウルグアイなんか、どうだろう。お知り合い、いませんか?」(ダンカン)

 コンプラの縛り、予算の制約はあれど、情熱があればテレビは面白い。

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