オールナイトフジでブレイク

 彼らがブレイクのきっかけを掴んだのは83年だ。

「僕らは事務所の社長が頭を下げて『ひょうきん族』に出させてもらうようになるんですが、とんねるずは、深夜番組『オールナイトフジ』(フジテレビ系)で人気が出たんです」(同)

 シロウト女子大生集団「オールナイターズ」の、いじり方が絶妙だった。

「いわゆる“とっぽいお兄ちゃん”という感じで、人気ブランドを着て、当時の若者文化を体現するような存在でした」(放送作家)

 ラサール石井は、こう考察する。

「寄席芸人の匂いがまったくない、そして師匠もいない。だからこそ、自分たちの好きにできる人たちでした。何よりカッコよくて、そこが80年代の若者にハマったんでしょう。いわば、彼らは時代と寝たんです」

 上にも下にもかしこまった様子を見せず、感情をむき出しにする。彼らの型破りな行動を象徴するのが、『オールナイトフジ』での「テレビカメラ破壊事件」。

「当時の彼らのヒット曲『一気!』を歌った際、興奮した石橋さんがテレビカメラを揺らして、倒してしまったんです。木梨さんは、ひと言“オレ知らね〜”。破壊されたカメラは約1500万円もするものだったとか」(前出の放送作家)

夕やけニャンニャンで人気爆発

 何をしでかすか分からない期待感を視聴者に抱かせた彼らの人気は、85年に始まった夕方の帯番組『夕やけニャンニャン』(フジテレビ系)で爆発する。

「〈タイマンテレフォン〉というコーナーは、“テメーこの野郎!”“うるせえ、石橋!”と、とんねるずと視聴者が電話で罵倒し合うもの。視聴者と対等な関係のお笑いというのは、それまでなかった」(石井)

 石橋が放送禁止用語を叫ぶなど異様な高揚感に包まれた企画だったが、「勝ち抜き腕相撲」も強烈だった。

「とんねるずが連れて来た腕相撲王者に一般挑戦者が挑む企画でした。試合終了後に、観覧席から客が躍り出て、フロアで大乱闘を繰り広げるという“お約束”があったんです。今では考えられないですよ」(前出の放送作家)

 客席をあおる石橋に過激な攻撃を仕掛ける観覧者も。

「飛び蹴りをされたり、ケチャップをかけられたり。それでも石橋さんは怪我をさせない程度に客をなぎ倒していく。今では考えられないです!」(前同)

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