「タイム&ラップ比較」 ― 毎日新聞本紙担当 丹下日出夫
"絶対的王者"に黒星をつけたハクサンムーンが能力格上!


新潟で施行される本年のスプリンターズSは、平坦・約360メートルの直線の短い内回り。中山のスプリンターズSや中京の高松宮記念なら、最後の坂やゴール前で激しいファイトも見られるだろうが、タイトな内回りの新潟6Fは直線を向いたところで先団があっという間に後続を引き離し、気が付けばゴール……。先行力なくしては語れない。

ならば、ハクサンムーン。昨年のセントウルSではロードカナロアを一蹴、アイビスSDを上がり3F31秒9で逃げ切ったこともある当代きっての韋駄天。イライラ感が募り、出遅れを喫した高松宮記念時とは体調も一変。セントウルSは栗毛の馬体が赤銅色に輝き、返し馬では旋回癖も出さずに心身ともに健やか。自己最高体重の486キロを叩いて、ひと絞り。

32秒台のラップに楽々と対応するスプリント能力も前回で確認。新潟に変われば内目の枠さえ引き当てれば、なんとかなる。鞍上の戸崎も前走で手応えをつかんだ。

対抗はストレイトガール。1番人気で臨んだ高松宮記念は望外の不良馬場。内か外か、先行策か後方待機か。諸々の選択を余儀なくされ3着に終わったものの、続くヴィクトリアマイルでは優勝馬に0秒1差と猛追。GⅠ級の能力は確認できた。函館SSは馬群に押し込められ11着に終わったが、小回りのインにこだわる岩田なら、新潟1200メートルに活路を見出すことができる。

コパノリチャードは浜中とのコンビで阪急杯を楽勝。「坂」のある阪神で1200メートル通過が1分7秒9なら、1分7秒前後の時計決着にも対応可。京王杯SCでの不良馬場激走の反動もあったが、疲れは癒えている。

惑星はガルボ。函館SSの時計やレース運びに、スプリンターズSの諸々の要素が詰まっている。

ローブティサージュも前2戦で1200メートルに自信。セントウルS上がり32秒9のマヤノリュウジンは一か八かのイン強襲か大外一気。
 

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