その証拠に、K-1などのバックステージでトム・ハーリック会長とすれ違う際に、バダ・ハリ選手は引け目からか目を逸らす事が多いのです。こうしたメンタルの弱さが、ピーター・アーツ選手はK-1 GPを3度制し、バダ・ハリ選手が結局一度も優勝出来なかった僅かな差になっていると感じます。トム会長の言葉通りにピーターを超えられるかどうか? それは今後心の弱さを克服するかどうかに懸かっていますね。
一方の「猛獣」メルビン・マヌーフ選手はバダ・ハリ選手と対照的です。最初にメルビンの話を聞いたのは、今のチャクリキには身長170cm程度でノブ・ハヤシ選手に一歩も引かない打ち合いを挑む黒人選手が居る。しかも総合(総合格闘技=MMA)の選手らしい、というオランダからの噂話でした。
当時はノブ・ハヤシ選手は逆輸入ファイターとして試合の度にオランダから「来日」していましたので、K-1参戦で来日したノブ選手に聞いてみました。「ああ、それはメルビンですね」と教えてくれました。そしてノブ・ハヤシから教えて貰ったメルビン・マヌーフの経歴は壮絶の一言でした。
彼は若い頃にコンビニ強盗を2度やって逮捕されている本物の悪党でした。また同じコンビニ強盗を再度やる所に、若きメルビンの頭の悪さを感じます。もう一度、バダ・ハリと一緒にメルビンが写っている集合写真を見てください。
メルビンの右足首に白いサポーターがありますが、この中にはGPSが入っております。仮釈放となったメルビンは、犯罪者の更生プログラムの一環としてチャクリキに通っていたのです、しかも仮釈放中ですから、常にGPSを携帯し、警察に現在地を伝える義務があったのです。
最初にメルビン・マヌーフの話を聞いたとき、私は当時日本でPRIDEが人気でしたので、PRIDEに売り込みたいと考えました。しかし、前科2犯のメルビンにはビザの取得が困難であり断念した記憶があります(チャクリキ離脱後ですが、その後にビザ取得が出来るようになってメルビンはHERO’Sに初来日を果たしました)。
さて、噂の「ノブに一歩も引かない打ち合いを挑む」の件ですが、実はこれはメルビンがノブに喧嘩を売ったのが真相です。流石にメルビン、「ワル」ですね。「今度のスパーリングでノブ・ハヤシにガチで仕掛けてやる」と、ノブの何が気に入らなかったのか、メルビンは一方的に喧嘩宣言をし、周りに吹聴したそうです。

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