電力自由化で得をする「賢い電気の選び方」教えます!!の画像
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 4月1日からスタートする電力の自由化。東京ガスやソフトバンクなど、新規に電力事業へ参入する企業のCMがバンバン放送され、「電力自由化」という言葉だけは世間に浸透した感もある。だが、いったいソレが何なのか。契約し直さなきゃ電気止まっちゃうの? 工事しなきゃいけないの? 契約って面倒なんでしょ? などと、一般の庶民の多くは分からないことだらけのはず。そこで今回、本誌は独自に電力自由化を徹底研究。時代に乗り遅れないための極意を伝授しちゃいます!

 我々が普段、何気なく使っている電気――。5年前の東日本大震災の時に輪番停電を経験した方は、日常の生活がどれだけ電気に依存していたのかを痛感したのではないだろうか。それだけ、ごく当たり前のように我々が使っている電気は、東京電力や関西電力などといった各地域の電力会社から購入する以外の方法がなかった。

 しかし、それが一般民間企業から買えるようになるとは、どういうことなのか。その素朴な疑問を解消すべく、電力自由化を担当する経済産業省資源エネルギー庁電力市場整備室に赴き、直接、話を聞いてみた。「ひと口に電力自由化と言っても、4月1日にスタートするのは、正確に言えば、電力の小売全面自由化です。すでに工場などの大口消費者に対しては2000年から段階的に小売自由化が始まっているのですが、それが一般家庭や商店などの小口消費者でも、どの事業所から電気を買うか自由に選べるようになります」

 電力事業は、「発電部門」「送配電部門」「小売部門」の3つに分かれている。発電部門とは、発電所で電気を作る部門のことで、送配電部門は、発電所から消費者までつながる送電線・配電線を管理する部門のこと。そして、このたび全面自由化される「小売部門」とは、「簡単に言えば、電気を消費者に販売する窓口のことです。消費者と直接やりとりをし、料金メニューの設定や契約などを行って、電気を供給します」(前同)

 従来はこれらのすべてを電力会社が一括して担当していたが、その販売窓口が自由競争になるのだ。「すでに発電部門については、原則的に参入自由となっています。つまり、誰が電気を作ってもいいということになっているんです。実際に、大規模工場などは現在、自家発電をして電力を賄っていますし、このたび小売に参入する事業者の中にも、発電設備を持つ会社はあります」(同)

 だが、発電設備のある事業者はごくわずかで、しかも顧客に対して100%自力で供給できる会社は、ほとんどないという。供給する電力が自社で賄えないなら、事業者はどこから電力を調達するのか。「実際には、卸業者や卸電力取引所、東京電力など既存の電力会社から電気を買って供給する形を取る会社がほとんどですね」(同)

 また、もう一つの送配電部門については、全面自由化後も、これまでと同様、各地域の電力会社が担当する。「電力の供給を安定させるためです。小売の事業者が顧客に必要とするだけの電力を調達できなかった場合でも、送配電部門の事業者がそれを補い、消費者にきちんと電力が届くように調整することが必要ですからね」(同)

 たとえば、小売事業者が倒産したり事業を撤退したりしても停電することのないように、送配電の部分だけは安易に自由化することはできないというわけだ。つまり、どこから電気を買っても、これまでと同じ送配電線網で各家庭に電気が届けられるのは、何ら変わりがないのだ。電線を新たに引く必要もなければ、契約上、何かあっても電気が停まることはない。

 もちろん、契約を結ばなければ4月から電気が停まることもなく、従来の契約のまま各電力会社から継続して電気は供給される。では、「小売全面自由化」で何が変わるのか?「最も大きく変わるのは、消費者に選択の幅が広がったこと。これまで電力会社は選べませんでしたが、自由化によって、消費者が自分の生活スタイルや好みに合わせて、さまざまな会社のさまざまなプランを選べるようになるんです」(同) これによって電力サービスの活性化を図るのが、経産省の目的だという。

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