こうした病院や医師の“目くらまし”は、カルテにも表れる。言うまでもなく、カルテには症状や既往歴、受診内容や治療方針などが記入されている。しかし、覗き見ても“ミミズ文字”で書かれ、内容が分からないという経験はないだろうか。「これまでは、患者に“事実”を知らせると、場合によっては悪影響を及ぼすということで、カルテはドイツ語や英語で書き、患者さんに内容を知らせないようにしてきたのです」(前出の岡田名誉教授)

 ところが今は、医師が患者に治療行為について周知徹底する、インフォームドコンセントの考えが主流。「世界的に見ても、カルテを母国語で書かないことのほうが異例です。患者にも、また、他の医師に分かるように、カルテや処方箋は母国語で書くようにと、私は大学で学生たちに指導してきました」(前同)

 年輩の医師であれば、これまでの習慣から、外国語で書く人がほとんど。逆に、もし日本語を使う医師ならば、それだけインフォームドコンセントの意識が徹底していることになり、同時に、患者へ隠し立てがない証拠でもあるという。

 また、小さいクリニックであるにもかかわらず、分不相応なハイテク医療機器をそろえている場合には注意が必要なケースも。ある開業医師によると、こうした場合、主に2つの事情が考えられるそうだ。「一つはハイテク医療機器を使わないと医療ではないと考えているパターン、もう一つは税理士からの指導などで節税対策のために購入しているパターンです。患者にとって怖いのは前者。必要もない検査を受けさせられて高額な検査料がかかったり、ムダに放射線を浴びたりすることが懸念されます。しかも、そういう医者は往々にして機械を一番に信じるので、患者にしっかりと向き合ってないことも多いのです」

 たとえば、CTスキャンの検査料は2~5万円程度かかり、患者の負担が1~3割だとしても、かなりの出費になる。また、CTスキャン1回で5~30ミリシーベルトの被曝をすることも大きな懸念材料で、「実は医師や看護師は、よっぽどじゃない限り、レントゲンも撮らないという人が多いのです。そのレントゲンの何倍もの放射線を一気に浴びるなんて、できるだけしたくありませんよ」(前同)

 ちなみに、このような画像診断をした際、その画像を電子化して保存することも実は有料で、「診療報酬120点(=1200円)の加算が一般的です」(同) 正直、いかがなものかと思うが、これは国が認めていること。中には、診療報酬を逆手に利用する医者もいるという。「診療の際、たとえば軟膏を塗るという行為も、医療的な処置として診療報酬の対象となります。そのため、小銭稼ぎでこのような行為を頻発する医師の存在も否定できません」(同)

 もう一つ、診療報酬絡みで知っておきたいのは、入院費用だ。深夜、突然の症状を訴えて病院に駆け込んだところ、一晩だけの入院が必要になった。翌朝、症状に改善が見られたので、すぐに退院したとしよう。この場合、どの程度の入院費用が請求されるのだろうか。「病院は、深夜24時を基準に入院日数を数えるため、23時に入院して翌朝退院したとしても、2日分の入院費用が必要となります。入院費用自体は、病院の規模や看護師の人数によって変わります」(同)

 診断・治療が病院や医師にとって何よりも求められる部分だが、最後の請求でイヤな思いをするのも避けたいところ。他方、「強欲な病院は基本的に営利主義に走っているので、安全面は二の次になることが多いのです」(前出の医療ジャーナリスト)

 診療報酬は、医療関係者であっても理解するのが簡単ではなく、ましてや一般人であれば判断のしようがない。それでも、請求時に領収書と同時に詳しい点数が記載されている診断明細書を請求すべきだという。「現在、領収書と明細書を発行するのは義務化されています。それなのに、発行を拒む病院は意外と多いのです。これは、診療報酬をごまかしている可能性を、暗に示している証でもあります」(前同) あなたは騙されていないだろうか?

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