結果、議員と役人の両者には、軋轢が生まれる。小池知事は、議員報酬に斬り込むことで、彼らの“癒着構造”を分断するというのだ。「ズバッと大改革」は、政官財の“利権のトライアングル”にも斬り込まざるをえないだろう。キーワードは、“補助金”だ。

「企業が、補助金を得る対価として天下り先となり、役人を受け入れることが横行しています。しかし、企業と役人が、直接やり取りをするわけにはいかない。そこで陳情を受けた議員が間に入って“ある企業から、こういう補助金ができないか、と相談された”という話を役人にして、つないでいくのです」(前同)

 そして、議会で予算の承認を取りつければ、“企業は潤う”。天下り先が確保されて、“役人も潤う”。パーティ券を購入してもらって“議員も潤う”こうして利権は強靭さを増し、ブラックボックス化していく

 政治評論家の有馬晴海氏が、こう続ける。「小池都知事が、豊洲新市場の問題で“歴代市場長らの懲戒処分もありえる”と公言した際、メディアは、彼らが今どんな役にあるかを徹底的に調べ上げました。テレビなどで、そのリストを見た方も多いことでしょう。“え、こんなところにも天下ってたのか”と驚いたのではないでしょうか」

 都の指導監督下にある管理団体、報告団体を加えると、都の天下り団体は90近くに及ぶ。2015年には、それらの団体に37人が天下っている。「豊洲新市場の設計変更が浮上した当時の中央卸市場長だった比留間英人氏は、11年、総務局長職で退職すると、『東京臨海ホールディングス』の代表取締役社長に天下り。『ゆりかもめ』や『東京ビッグサイト』などを統括する、都の持ち株会社です。比留間氏は、同社を1年足らずで退職し、都教育委員会の教育長に任命されます。その後、『東京メトロ』(地下鉄)の副会長に就任。その間、各天下り団体から1400万~1800万円の役員報酬が彼に支払われているのです」(市民オンブズマン関係者)

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