政治評論家の浅川博忠氏は言う。「党政調会長を経て防衛大臣に就任とキャリアも申し分ないし、安倍首相の信頼も厚い。ただ大臣としては国会答弁などで脇の甘さが目立つので、今後、外交や経済など重要閣僚を経験して、大臣としての素養を広げる必要がありそうです」

 メガネとタイツがトレードマーク。国会の“おしゃれ番長”といわれる稲田氏だが、政治家としては、まだまだ研鑽が必要なようだ。安倍首相に重用されているという意味では、高市早苗総務相(55)も女性総理レースへの出走資格は十分。この辺が2番手争いだろう。93年に衆院選で初当選したときは無所属だったが、その後、新進党などを経て96年に自民党に入党。安倍首相の出身派閥である清和政策研究会に所属した。

「06年の第1次安倍政権で初入閣し、12年に自民党政調会長、第2次安倍政権下の14年には総務相を務めるなど、安倍政権における女性閣僚の代表的存在であり続けています。出世の要諦は“安倍総理のイエスマン”に徹したことでしょうね」(全国紙政治部デスク)

 前出の浅川氏は高市氏について、こう話す。「当選7回の高市氏は、稲田氏よりも大臣の経験値が高く、国会答弁も如才ない。その点では稲田氏をリードしているとも言えますが、彼女は安倍首相のお友達ではあっても、秘蔵っ子や盟友という関係ではない。そのへんが首相候補として物足りない部分と言えるでしょうね」 やはり、“禅譲”ということなら、現実問題、才覚よりも縁故なのだろうか。

 それなら、安倍首相の秘蔵っ子という意味では、丸川珠代五輪担当相(45)も首相争いに食い込んでくるはず。07年と13年の参院選で当選。政治家としてのキャリアは浅いが、彼女も安倍首相がスカウトした女性議員の一人だ。丸川氏がテレビ朝日のアナウンサーだったことはよく知られているが、「彼女は『朝まで生テレビ』の司会を担当していた縁で当時、官房副長官だった安倍さんの勉強会に参加するようになったんです。安倍さんの政治哲学、政策に共鳴するようになった丸川氏は、背中を押されるようにして参院選に出馬したそうです」(前出の民放ディレクター)

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