トヨタがメキシコに新工場を建設すれば、「巨額の関税を課す」と脅されているのは、周知の事実だ。「しかし、トランプ政権が誕生したからといって、すぐさま高い税金がかけられるわけではありません。アメリカ国内の景気も好調。原油価格は安く、これまで世界経済の足を引っ張ってきたヨーロッパも立ち直りの兆しを見せています。経済が上向きである以上、トランプ新大統領といえども、大胆な政策変更はしてこないでしょう」(前同)

 しかも、トランプ新大統領は10年間で6兆ドルという“大減税政策”を打ち出している。「当然、消費が活発になり、しばらくアメリカの好景気は続くはず。それにつられ、日本の景気も上向くでしょうね」(あえば氏)

 問題はアメリカ経済が停滞し、失業者が増えたとき。「たとえそうなっても、それを打ち消して余るほどの恩恵が、日本経済は得られると私はみています」と、あえば氏は言うが、どういうことか。

「たとえば為替。今後も円安傾向は続くと思います。というのも、トランプ氏の側近の一人が、“1ドル200円くらいまではいくかな”と私に洩らしたことがあるからなのです」(前同)

 トランプ氏の大統領選勝利後、為替市場は「ドル高円安」に転じ、現在、1ドル113円の水準(1月17日現在)。その一方、「これ以上のドル高が続けば、安い外国製品がアメリカ国内を席巻することになり、保護貿易的政策の新政権としては容認できなくなる」(前出の経済誌記者)と言われてきた。

 ところが、国内景気に相当自信があるのか、トランプ新大統領は「強いドル」政策を押し進めようというのだ。いよいよ「1ドル200円」と、超円安時代も視野に入ってきたということだ。「本当にそうなれば、1985年以来、日本経済がバブルに沸いた当時の水準に戻ることになります」(前同)

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