離島防衛には、制空権を巡る戦闘や各種艦艇による海上戦闘も付随する。「航空自衛隊の主力戦闘機であるF-15は、イスラエル軍や米軍が実戦投入して無類の強さを発揮した名機。また、最新鋭のステルス戦闘機F-35の導入も始まっています。さらに、現代の空戦には不可欠な早期警戒管制機、空中給油機といった、フォース・マルチプライヤー(戦力倍増装置)も、周辺国の中では日本が最も戦力が整っています」(竹内氏)

 早期警戒管制機とは、空中から友軍戦闘機に敵機の位置情報などを提供する“空飛ぶレーダーサイト”のことだ。「世界最強の米空軍との訓練も行っており、中国空軍と空戦になっても確実に勝利できる」(空自関係者)

 海戦はどうか? 「6隻のイージス艦に“和製イージス”と呼ばれる『あきづき』型護衛艦、世界最強の『そうりゅう』型潜水艦を擁す海軍力は極東どころか、世界屈指の実力といえます。急ピッチで近代化が進む中国海軍も、いまだ、海上自衛隊の敵ではありません」(黒鉦氏)

 海外の軍関係者も、海自の実力を高く評価しているという。「海自は米海軍との共同訓練を頻繁に行っておりますが、米海軍は海自と英海軍の技量を、同盟国の中でも最も高く評価しています」(竹内氏)

 ただ、そんな自衛隊にも弱点はある。慢性的な人員不足だ。「中国、韓国、北朝鮮と比べると圧倒的に兵力が少ない。中韓北の3か国が有事の際に動員できる予備役を100万人以上も抱えているのに対し、自衛隊はたった6万人です。長期戦は不利になりますね」(前同)

 さらには、こんな制度上の不備もある。「戦闘機パイロットや艦艇の乗組員といった高度な専門教育を受けた隊員が、除隊後に予備自衛官に採用されていないため、有事が長期化した際の不安要素となっています。米軍などでは、戦闘機パイロットなどが除隊して民間航空会社などに就職しても、有事の際は召集されるシステムがある。これは世界の軍隊では常識です」(前同)

 自衛隊は、少数精鋭で戦闘に臨み、短期決戦で確実に勝利することが宿命づけられているのだ。

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