続いて、総兵力233万人と、世界一の威容を誇る中国軍を見ていこう。「陸軍主体の軍隊で、“質より量”の人海戦術を採用していた時代は、過去のものとなった。現在は海空軍の近代化を進めており、自衛隊と遜色ない装備も増えている。総合戦力では、自衛隊は中国軍にかなわない」(前出の防衛省関係者)

 有名な軍事格付け会社『グローバル・ファイアー・パワー』の最新ランキングでも、中国は米ロに次ぐ堂々の世界第3位にエントリー。自衛隊は、インド、フランス、英国に次ぐ第7位となっている。

「かつては旧ソ連の兵器をコピーしたものが大多数を占めていたが、現在は05式水陸両用歩兵戦闘車など、独自の技術を用いて開発された国産兵器の数が増えている。これらは、米軍と近代戦を戦うことができるものだ」(前同)

 ただ、陸軍主体の国家だっただけに、海空軍には弱点も少なくない。「近代的な護衛艦も就役しており、見かけだけは外洋海軍です。ただ、近代海軍を運用した経験が不足しているため、将兵や戦術のレベルは米海軍、海自に遠く及びません。空軍も戦闘機数はダントツですが、早期警戒管制機などの支援機は質、量ともに満足できるものではありませんね」(黒鉦氏)

 総力戦では勝てないまでも、局地的な海戦、空戦ならば、まだ自衛隊に軍配があがるという。また、空母についても疑問符がつくという。

「旧ソ連のスクラップを買って改修した空母『遼寧』は、“張子の虎”です。現在建造中の国産空母も、米軍のようなカタパルトはないとされているため、搭載できる戦闘機数は少なくなるはずです」(前同)

 実は海上自衛隊にも“空母”がある。全長248メートル、哨戒ヘリを14機搭載可能な「いずも」型護衛艦だ。海自はあくまで護衛艦と呼んでいるが、これは“立派な軽空母”だという。

「海外の軍関係者は、“近い将来、確実に軽空母に改修される”と考えています。実際、垂直離着陸可能なステルス戦闘機F-35のBタイプを10~18機搭載できるはずです」(竹内氏) 驚くなかれ、日本は“隠れ空母保有国”だったのだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6