■実は多い! サマータイムをやめた国々

 サマータイムを実施した結果、社会に混乱を招くことになったり、不評だったりして撤回した経験を持つ国は多い。アイスランド、アゼルバイジャン、イラク、コロンビア、トルコ、フィリピン、モンゴル、ロシア、韓国、中国などがそうだ。アメリカやカナダ、オーストラリアでは、一部の州で撤廃されている。ちなみに、日本から近い東南アジアの国々は、赤道直下に位置し、1年を通して昼と夜の長さに大きな違いがないため、導入されたことがない。

●日本では「サンマータイム」だった!?

 日本では太平洋戦争に敗戦後の1948年(昭和23年)、GHQの指導でサマータイムが導入されている。一度廃止されるが、1949年(昭和26年)のサンフランシスコ講和条約締結時に復活。しかし翌年、日本の主権が回復すると同時に廃れることとなる。当時はなぜか、サマータイムではなくサンマータイムという名称だったようだ。

 平成になって以降も、温暖化対策やワークライフバランスの調和という大義名分のもと、たびたび導入が検討され、北海道や滋賀県などで試験的に実施されたことがある。直近では、奈良県が2012(平成24年)~2017年(平成29年)に実施するも、不評で打ち切りに。現在、実施している地域はない。日本の国土は東西に細長く、タイムゾーンこそ単一だが、地域によって日の出と日没の時間に差異が生じる。また、日が沈んでも湿気が高くムシムシするため、省エネには繋がりにくかった。

●時間を戻し忘れ!? ロシアの珍事件

 ロシアにサマータイムを導入したのは、スターリン。1930年に初めて実施するも、終了日に時間を戻し忘れてしまった。そのまま61年間も、戻し忘れたままに! 当時はその状態に重ねてサマータイムを採用していたので、さぞ国民は混乱したことだろう。2014年にやっと完全撤廃し、最終的にサマータイムとはおさらばした。

■サマータイム期間の時差の計算法

●日本より西にある国/時計を戻す。

●日本より東にある国/時計を進める。

 サマータイム期間の場合は、通常の時差に1時間プラスする。たとえばメキシコは、日本時間よりマイナス15時間(15時間遅れている)。日本時間が午前10時なら、あちらは前日の午後7時だ。サマータイムにはメキシコの時間が1時間進み、時差はマイナス14時間に。日本が午前10時のとき、あちらは午後8時。サマータイムで進んだ1時間分、時差が縮まることになる。

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