■トラブルを防ぐ散骨マナーQ&A

 最後に、散骨に関して気になるその他のことを一気に解決しよう。

Q:宗教や宗派は関係あるのか?

 特にないが、散骨するなら故人の遺志はもちろん、供養をする側である家族の気持ちもよく考えたい。墓を作らない、墓には入れないという考えで、すべての遺灰を散骨すると、何も残らないため、喪失感が増すこともある。

 また、葬儀を行う場合は、菩提寺の住職などに連絡して来てもらうかどうかを検討したほうがよい。散骨に反対の立場をとる聖職者は決して少なくない。宗教的な供養をしない時は戒名や位牌、仏壇などもなしということになる。

Q:海外でも散骨できるのか?

 海外でも散骨できるが、国や地域ごとに法律やルールがあるため注意が必要だ。たとえば、ハワイで散骨するには、法律で「海岸線より3マイル(4.82キロメートル)以上沖合でないと海洋葬を認めない」と定められている。違反すると罰則が科せられるため、必ず専門業者に頼もう。なお、遺灰は手荷物として飛行機内に持ち込むことができるが、他の乗客の目に触れないような配慮をしたい。

Q:ペットの遺骨なら庭などに散骨していいのか?

 刑法や墓埋法が定めるのは人間の遺体や遺骨である。犬や猫などペットのものに関しては規定がないため、どこにどのように散骨しても基本的には問題ない。とはいえ、やはり良識に照らし合わせてトラブルを招きかねない場所や私有地への散骨は控えるべきだろう。

■まとめ

 現代の日本における散骨の歴史はそれほど長くなく、法律も整っているとはいえない。“自称プロ”の専門業者とトラブルになることもある。散骨に関する規制を定めた条例を制定している自治体も存在する。それでも散骨という葬送を選ぶということであれば、しっかりした下調べと良識ある判断のもと、故人が自然に還れることを祈って粛々と行いたい。

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