■お屠蘇の作り方

 元日の朝が来たら毎年必ずお屠蘇を飲んでいる、という人であっても、お屠蘇がどのような材料でどのように作られ、どのような効能を持っているかを知らない人は少なくない。意外に思われるかもしれないが、実は、お屠蘇は、家庭で作ることができ、材料も入手しやすく、作り方自体も比較的簡単なのである。ここでは、お屠蘇の作り方について解説していきたい。

●用意するもの

・屠蘇散
・日本酒
・本みりん……料理用みりんは塩分が含まれているため、お屠蘇を作る際は「本みりん」を使うものとされている。

 これらはすべて、スーパー、ドラックストア、ディスカウントショップなどで購入できる。12月下旬にスーパーなどで販売されている日本酒や本みりんに屠蘇散が付属していることもある。

 屠蘇散のパッケージなどに、お屠蘇のレシピが記載されているケースもある。そういったケースでは、記載のレシピの通りに作ることをおすすめする。上質な日本酒や本みりんを使用することによって、味わい深いお屠蘇ができあがる。

●作り方

 日本酒と本みりん合計300mlに対して、屠蘇散を浸し、5~8時間ほど漬け込む。日本酒と本みりんの配合比率は、各々の好みで調整してよい。本みりんを多めに調合することによって甘口でまろやかな味わいに、日本酒を多めに調合することによって辛口に仕上がる。

 もし、日本酒と本みりんを300mlより多く使う場合は、屠蘇散を漬け込む時間も長めにするとよいが、あまりに長時間漬け込んでしまうと、お屠蘇が濁ったり、沈殿物が現れたりといったことも起こるので注意したい。

 かつては、大晦日の夜、屠蘇散を入れた三角形の赤い絹の袋を井戸の内側に吊るし、元日の早朝に取り出し、酒とみりんに漬け込んでいた。しかし、現代では井戸がある家庭が極めて少ないので、現実的な方法ではない。現代では、元旦に飲むお屠蘇は、大晦日の夜に作っておくほうがいい。

 大晦日の夜といえば、年越しそばやおせち料理づくり、お雑煮の下ごしらえ、大掃除の仕上げやお年玉の用意、紅白歌合戦の観賞など、お屠蘇づくり以外にもいろいろとやりたいことがあって、とても忙しい。

 ゆえに、浸しておくだけのお屠蘇はうっかり放置したまま……なんてことにもなりかねない。しかし、8時間以上放置してしまうと、お屠蘇が濁ってしまうので、くれぐれも気をつけたいところ。時計のタイマー機能やスマートフォンのアラームを使用するなどして、お屠蘇を放ったらかしにしないようにしよう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4