■検査はバリウムより胃カメラ

 また、検診を受けた際、要検査のときは必ず再検査を受けることも大切だ。「肝機能の数値が悪くても“酒のせい”と放置する人がいますが、がんの前兆が隠されていることも少なくありません」(肝臓専門医)

 胃の検査も、バリウムより胃カメラのほうがより、がんの発見率が高くなる。男性3位、女性1位の大腸がんは大腸内視鏡検査で予防が可能だ。「大腸内視鏡は、がんの発見と“がんの芽”の摘出を兼ねています。2年に1回の検査で、大腸がんはほぼ100%予防できます」(大腸内視鏡専門医)

 医療機関を上手に利用する一方で、毎日できる簡単ながん予防法もある。いつでもできるのが、がんに効くツボ押しだ。「爪の根元の両側にある『井穴』や、親指と人差し指の付け根にある『合谷』が、そのポイントです。暇なときに、こうしたがん予防のツボを押す癖をつけるといいでしょう」(田村氏)

 では最後に、がんの疑いありと診断された、あるいは、がんの治療を受けている(受けた)という人への注意点をお伝えしたい。「最も気をつけたいのは健康食品やヨガなど代替医療に頼りきらないことです。厚労省が指定するがん診療連携拠点病院を基本に治療をするのが一番」(牧氏)

 拠点病院はパソコンで検索すればすぐ分かる。全国に400か所以上あるこの拠点病院は開示情報が統一されているため、比較も簡単にできる。がん患者や、その家族にとって力強いサポートとなるはずだ。「健康食品や代替医療を試すときは、(拠点病院の)担当医に相談してください。新しい知見も含めて相談に乗ってくれるはずです。また、治療後も医師の指示に従って、しっかり通院することが転移を防ぐうえでも大切です」(拠点病院のがん相談員)

 さらに、病院を巡る環境も変化しており、今年2月には『がんゲノム医療中核拠点病院』として11病院が選定された。「この病院では、がん患者の遺伝情報を調べて最適な薬品や治療法を選択します。全国に11施設しかありませんが、この拠点病院の衛生的な役割として『がんゲノム医療連携病院』を厚生省が指定しています。こちらは全国で100か所あり、中核拠点病院の窓口となって、その知見を得ることができるシステムになっています」(全国紙記者)

 がん治療の技術だけでなく、その利用方法や環境も常に進歩しているのだ。備えあれば憂いなし。今回紹介した“がんの予防と対策”を、ぜひ活用したい!

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