■女子レスリングの伊調馨もパワハラを受けて

 権力を笠に、選手に「五輪に出られなくなる」と脅すのは、パワハラ以外の何物でもないが、アマスポーツ界では日常茶飯事。今年1月、女子レスリングの伊調馨選手(34)の代理人からパワハラを告発された女子レスリング協会の前強化本部長・栄和人氏(58)も、「俺の前で、よくレスリングができるな」と、伊調選手に脅しをかけたとされる“陰の首領”だ。「もともと、栄氏と伊調は師弟関係でした。二人三脚でアテネ、北京で金メダルを獲得。ところが北京五輪の後、伊調選手は栄氏の元を離れて、田南部力コーチの指導を受けるようになった」(前出の夕刊紙記者)

 手塩にかけてきた愛弟子を奪われた腹いせか、栄氏は強化本部長の権限を使って、伊調選手に男子代表合宿の参加を止めるなどして、練習を妨害したという。「田南部コーチにも“伊調のコーチをするな”と脅しをかけ、代表コーチから外したようです」(前同)

 さらに、こんな噂も。「同じく教え子のX選手とは、栄氏の妻も知る“深い関係”だったといわれ、有名な話です。ただ、伊調とは男女の関係が作れず、加えて、田南部コーチと伊調が“怪しい”という噂も出回ったため、暴挙に出たのではないでしょうか」(同)

 ただ、栄氏を擁護する声があるのも事実だ。「あの人は女子レスリングが弱くて、誰も指導をやりたがらなかった時代から、一人で頑張っていたんです。4000万円のローンを組んで自宅を合宿所にしたほどです。だから自分が女子レスリングを強くしたという自負はあるだろうし、確かに、その通りなんですよね。ただ、結果を出して自分が偉くなった途端、ポルシェを乗り回したりするから、反感も買うんですよ(笑)」(前出のデスク)

 それは、日本ボクシング連盟の山根明・前終身会長(78)も同じだ。「山根さんが助成金の流用や試合の判定などで不正を働いたとして、告発状を出されたことが騒動の始まりでしたね」(前同)

 これを機にロンドン五輪の金メダリストで、WBA世界ミドル級王者の村田諒太選手(32)がフェイスブックで、〈そろそろ潔く辞めましょう。悪しき古き人間達、もうそういう時代じゃありません〉と、山根会長を名指しするようなコメントを発表。対して山根会長はワイドショーで、「(村田は)生意気だよ!」と恫喝したことで、一段と世間から非難を浴びた。「彼の素顔は、昭和の頑固オヤジって感じですよね。あの人の“首領ぶり”は非常に分かりやすい。今年の初めには、『山根終身会長~ 激動と感動の軌跡』と題するDVDを協会に作らせていましたからね(笑)。あそこまで堂々と“我が世の春”を宣言する独裁者も珍しいですよ」(同)

 最も悪名高いとされる首領は、日本大学の理事長で“日本相撲連盟の元専務理事・副会長”さらに“国連相撲連盟元事務総長・会長”と泣く子も黙る経歴を持つ田中英壽氏(71)だろう。「日大アメフト部のタックル問題が、あれだけ世間の耳目を集めたのに、今でも日大理事長の地位は揺るぎません。もちろん、アマ相撲は言うに及ばず、角界にも絶大な影響力を誇っています」(角界関係者)

 日大相撲部出身の力士がプロ転向後、どの部屋に入るかも田中氏の采配次第だというから驚きだ。「田中氏には、有望な学生力士を入門させる見返りに、部屋から“育成指導料を受け取っている?”との噂もありますからね」(前同)

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4