■松坂大輔、前田智徳、金本知憲も愛してやまなかった

 巨人のユニフォームに袖を通すことはなかったが、長嶋氏が愛してやまなかった選手もいる。それが、松坂大輔、前田智徳、金本知憲の3選手だという。「長嶋さんは松坂が高校時代からのファン。もう、褒めちぎっていましたね。ただ、松坂がプロ入りしてからは公言しなくなった。それは、“プロで同期の上原がヤキモチを焼くといけないから”という理由からでした」(前出のデスク)

 前田に関しては、水面下で広島にトレードを打診していたというから驚きだ。「天才と言ってましたね。後にも先にも、長嶋さんが天才と断言したのは、前田と由伸だけです。条件が合わずにご破算となりましたが、ミスターがご執心だったことは確かです」(前同)

 最後は、金本(広島時代)との秘話を紹介しよう。「ある年、宮崎で広島と巨人がニアミスすることがあり、その際、ミスターが知人を通じて金本を旅館の風呂に誘ったんですよ。そこで、筋肉の状態を確認したかったからだとか。しかし、金本は来ず、あのミスターが、大浴場で待ちぼうけをくったとか(笑)」(同)

 天才は天才を知る。長嶋氏が愛した面々もまた、いずれ劣らぬスターぞろいだった。

■江川卓、坂本勇人…まだまだいる!!「ミスターが愛した選手」

江川卓(投手・1979~87)作新学院のエースとして甲子園を沸かせた当時から長嶋氏はベタ惚れ。大学卒業後に野球浪人し、「空白の1日」騒動の末に巨人入りしたが、「浪人期間が才能を錆びつかせた」と、長嶋氏は残念がる。

落合博満(内野手・1979~1998)93年のオフ、日本人FA第1号として巨人入り。在籍3年間で長嶋巨人を2度のリーグ優勝に導く。長嶋に憧れて野球を始めた落合は「(清原との二択に)悩む監督の顔は見たくない」と自主的に退団。

清原和博(一塁手・1986~2008)長嶋氏は当初から桑田より清原を高く評価していたといわれ、桑田を選んだ巨人フロントには批判的だった。96年暮れに清原がFA宣言すると、長嶋氏は「僕の胸に飛び込んできなさい」と口説いた。

元木大介(内外野手・1991~2005)89年にダイエーからの指名を拒否し、1年間ハワイに野球留学。翌年、巨人から1位指名を受ける。隠し球などトリッキーなプレーが得意。長嶋監督は「くせもの」と呼び、重要な局面で起用した。

福留孝介(外野手・1999~)PL学園卒業時に「巨人以外は拒否」と、近鉄を蹴って日本生命に。3年後に中日に入団。04年、長嶋監督が率いるはずだったアテネ五輪の中心打者に。FA時は巨人移籍と思われたが、メジャーへ。

坂本勇人(遊撃手・2007~)毎年のように宮崎キャンプを視察する長嶋氏が、入団当初から「いい打者になる」と才能を見抜いていたのが坂本。打率もよく、長打も狙える坂本のバッティングは、現役時代の長嶋を彷彿とさせる。

岡本和真(内外野手・2015~)16年、宮崎の春季キャンプを視察した長嶋氏は、打撃練習中の岡本にスイングの修正ポイントを熱烈指導。岡本は「無駄をなくすようにいわれた」と長嶋氏からの直接指導に感激し、2年後に覚醒した。

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