■原辰徳や松井秀喜など、重量級イメージの巨人だが

 原辰徳監督や松井秀喜氏のように重量級のイメージがある巨人だが、前出の藪氏は、実はクセモノが多かったと述懐する。「たとえば仁志(敏久)にしても、しつこかったですね。何度もファールで粘られるので、“もういい加減、前に飛ばしてくれよ”という気になって、ついつい甘い球を放ってしまって打たれる、というふうになりがちでしたね」(藪氏)

 また、仁志氏は守備でもクセモノぶりを発揮。通常は外野にきれいに抜けるはずのセンター返しを、ただのセカンドゴロにしてしまうことがままあった。

「あれは、もちろんデータに基づいたもの。ただ彼が他の選手と違ったのは、思い切った守備位置につくのを勇気を持って実行したこと。セオリーに反する守備位置につくのは怖いんですよ」(前出のベテラン記者)

■長嶋茂雄は野村克也にカリカリ

 藪氏も「だいたい、クセモノといわれる選手は二塁手か遊撃手。それに捕手というのが通り相場」と語るが、クセモノのキャッチャーとして、まず名前が挙がるのは野村克也氏だろう。ノムさんが得意としたのは、言わずと知れた「ささやき戦術」だ。

「王さんがよく、“昨日、銀座のクラブ『姫』に行ったろ”なんて言われて動揺しているうちにストライクを取られる、ということがあったね」(ベテラン記者)

 王、ミスターの盟友、巨人軍V9戦士で野球解説者の黒江透修氏によれば、「長嶋さんもゴチャゴチャ言ってくるノムさんには、相当カリカリきてたよ」とのこと。そんな黒江氏に対するノムさんからの“口撃”といえば、「俺は私生活のことをいわれなかった。むしろ“初球から打ってもええんか?”とか、“打撃が良くなってきてるから気をつけんといかんな……”とか、本当のことを言われて、逆に参考にして打ってたよ(笑)」

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