■大都市のほうがお得?

 ちなみに、市区町村別のランキングに、大都市は1つも入っていない。そこで、人口50万人以上の都市の水道料金事情を調べてみると、一番高額なのは札幌市の月額3585円。以下、仙台市(3488円)、さいたま市(3229円)、京都市(2959円)と続く。逆に安価のトップは大阪市で、月額2073円。そして浜松市(2116円)、北九州市(2160円)がベスト3となる。

 確かに、都市部で比較すると、他の市町村ほどの大きな差は感じない。水道料金だけなら、大都市に住んでいたほうがお得とも言えるだろう。しかし、水道料金はずっと一定なわけではない。人口の増加や市町村の合併などで管理費が低減し、水道料金が下がるケースはある。

「水道は、電気やガス以上に重要なインフラで、自治体側も利益を出すような運営をしません。ただ、施設を存続させるために、赤字にもできない。料金の算定は運営主体となる市区町村が独自に決めますが、値上げする場合は住民に説明会を開く自治体も多いですね」(行政関係者)

 水道料金は地域によって差があっても、どこも“原価スレスレで掛け値なし”の料金体系になっているのは、間違いないようだ。

 だが実は、全国で一番安い赤穂市よりも、さらに水道料金が安い地域が存在する。それは一般的な上水道ではなく、「簡易水道」を利用する地域だ。簡易水道とは、給水人口が5000人以下の地域をカバーする水道事業のこと。この簡易水道で最も安いのが、愛媛県八幡浜市矢野畑地区。水道料は、なんと1か月使い放題で200円。これにメーター使用量の100円を加えた月300円ポッキリというのだから驚愕だ。八幡浜市水道課職員は、次のように説明する。

「この地区で簡易水道による給水を受けているのは、現在7世帯のみ。管理も利用者たちによってなされており、管理費などがほとんどかからないため、こんなに安い料金になっています。ちなみに、八幡浜市でも上水道を引いている地域は全国平均の水道料金(約3244円)と、ほぼ変わりません」(同市水道課)

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