齋藤が表題曲のセンターに選ばれ、伊藤と井上がアンダーで活動するこのタイミングを受け止め、新たに前進するための契機として湯浅が選んだのは、「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」MVから数年後を舞台にした続編という設定だった。

 前作に引き続いて、『櫻の園』あるいは志村貴子のマンガ『淡島百景』の世界観を匂わせるように演劇をモチーフとして採用しながら、それぞれの葛藤を抱えて再会した二人の様子を湯浅は描き出す(昨年12月に取り上げた高橋栄樹(/articles/-/70732)と同じく湯浅弘章もまた、ときおり志村貴子的なイメージを映し出す作家である)。

■「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」MVのリフレイン

 これまで乃木坂46作品において、時のうつろいを鍵にした情感を数々描いてきた湯浅は、このショートムービーでも、かつての時間を切なく振り返るようなシーンを演出する。

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