■オンラインレッスンを導入

 それから、この事態になる少し前から、会員さん用の共有備品をなくしてたんですよ。縄跳び、ミット、グローブ、レガースなどのレンタルはやめていました。これで、備品を通じての接触もなくなっています。その代わりに、希望する会員さんにはミットを貸し出して、自宅で使ってもらっています。

 同時にオンラインレッスンも模索しています。ここでもLINEグループを活用して、自宅でできるトレーニングのクラスを30分程度行ったり、またYouTubeでは会員さんのみが見られる限定動画をアップしています。勝村さんのジムがやっているオンラインクラスがすごく充実しているので、僕も実際にオンライン会員になって一緒にトレーニングし、参考にさせてもらっています。

 会員さんには、医療従事者の方、介護関連で働く方も多いんですよ。本当に申し訳ないんですが、それらの会員さんたちには来店は自粛していただいています。その代わりに年内は会費を免除ということにした上、個人的に連絡をもらえれば、他の会員さんとは別の時間に1時間、自分のみが担当して対応しています。それもキックボクシング限定で、接触はない形にしています」

 こうした一連の試みについて、砂辺はこう判断する。

「200人弱の会員さんがいますが、ここまで休会は5人程度です。この状況の中で大満足とはいかなくても、ある程度の効果は上げられているのかなと。ただ100%ではないから、どうしたらさらにお得感が出せるのかを考えています」

 また砂辺は、沖縄県の医療従事者にマスク2万枚を寄付する予定だという(15日にマスクが沖縄に届き、順次配布予定)。以前から試合時のスポンサー料の半額を「復興支援金」として東日本大震災の被災地に寄付するなどしており、今回もそこからマスクの購入費用に充てている。後編では、格闘家とジム経営に加えもうひとつの顔についても話を聞いた。

※後編に続く

(取材・文=高崎計三)

砂辺光久(すなべ みつひさ)
1979年沖縄生まれ。総合格闘家、プロレスラー。「reversal GYM OKINAWA CROSS×LINE」代表。アマチュアパンクラス2連覇の実績を高く評価されプロデビュー。ストロー級、フライ級、スーパーフライ級の3階級でキング・オブ・パンクラシストのベルトを腰に巻く。2019年にはパンクラス初の殿堂入り選手として認定される。
https://crossline-gym.com/

高崎計三(たかさき けいぞう)
1970年福岡県生まれ。編集者、ライター。ベースボール・マガジン社入社、『船木誠勝のハイブリッド肉体改造法』などの書籍や『プロレスカード』に携わる。02年、(有)ソリタリオ設立。現在はウェブ、雑誌等の紙媒体など様々なメディアで活動中。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)などがある。
Twitterアカウント:@solitario_k

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