■100均の材料で作れるダミー人形

 第三者の意見に耳を傾ける姿勢を持つルミナはどんな姿勢も否定しない。

「今回のコロナ騒動に関していえば、正解不正解はまだわからない。10年くらい経ってから『あのやり方はマズかったよね』というふうになるんじゃないですか。長いスパンで見ないとわからない」

 その一方で社会に蔓延する閉塞的な空気の中、格闘技関係者同士がSNSで衝突することも。お互い否定しあうような場面を目の当たりにすると、ルミナは悲しくなると呟く。

「もう少しお互いの立場に立って考えたら、ちょうどいい折衷案が出てくるんじゃないかと思う。ストレスがエキサイトさせる要因になっているのかもしれないけど、自分と異なる意見を尊重できない姿勢はイヤですね」

 ルミナは苦しい中から新しく楽しいアイディアを捻り出す。100円ショップで売っているプールスティックを使って製作した寝技練習用のダミー人形もそのひとつだろう。

「最近はちゃんとしたグラップリングダミーもある。ウチも買ったばかり。すごくいい商品なんだけど、すごく重い。だから一般家庭には絶対置けない。それに比べたらプールスティックを使った人形は安いし軽いし簡単に作れる。子供のオモチャにもなるので、コロナ時代には最高の発明だと思います」

↓ダミー人形の作り方

 大会に目を向けてみると、海外ではUFC、国内ではABEMAが音頭をとる形でROAD TO ONEや修斗が無観客試合をスタートさせている。ルミナは「アメリカではトランプ大統領がUFCの再開を支持している。そのへんがアメリカ的だと思いますね」と驚く。

「ペイパービューの視聴率も高いと聞きました。コロナでストレスがたまっているので、アメリカの人たちはスポーツイベントの再開を心待ちにしていたんじゃないですか。無観客でのUFC再開は、ABEMAと同じ発想だと思う」

 ルミナはジムを切り盛りする一方で、日本修斗協会理事長としてアマチュア修斗を運営している。規模によって試合数を多く組み、セコンドを含めると参加者は多人数となるアマチュア大会は、その開催に慎重にならざるをえない。

 非常事態宣言を受けアマ修斗も4月26日に開催予定だった沖縄選手権以降大会を延期している。今後の予定は内部で話し合いながら段階的に決めていく予定だ。

「活動再開は感染リスクの少ない地方からになると思います。関東地方で開催する大会の再開は一番遅くなると思う」

 当初の予定では4月から全国10箇所に分かれた地区予選を行い、10月18日に全日本選手権を行う予定だった。コロナの影響で、すでに6大会ほど開催を延期しているという。

「現時点では7~8月に地区大会があって、予定通り10月に全日本選手権というスケジュールがベスト。ただ、現実問題として2カ月で全ての地区大会を行うことは難しい。なので最悪東日本選手権と西日本選手権のふたつだけにして全日本選手権につなげるというプランも考えています」(※取材後日、全日本選手権は10月から12月にスライドすることが決定)。

2006年からは、地元小田原の地でアマチュア修斗の全日本選手権を開催
2006年からは、地元小田原の地でアマチュア修斗の全日本選手権を開催
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