若月佑美の頃安監督PVで繰り返し描かれる「伝えられなさ」【乃木坂46「個人PVという実験場」第10回 2/5】の画像
※画像は乃木坂46『太陽ノック(Type-A)(DVD付) 』より

乃木坂46「個人PVという実験場」

第10回 特異な個性を持つドラマ型作品を担ってきた頃安祐良 2/5

■「伝えられなさ」のドラマ

 乃木坂46の個人PV/ペアPVにおける頃安祐良の作品群のなかで、井上小百合と同じく複数回主演を務めている人物が、若月佑美である。ただし、先週(/articles/-/81225)とりあげた井上主演の「ともだちのともだち」「愛の飛び蹴り」とは対照的に、若月出演の作品はいずれも、登場人物が慕う相手にうまく思いを告げられぬまま物語を閉じる。というよりも、その「伝えられなさ」にこそ最大のドラマ性を宿したショートムービーになっている。

 2014年の10枚目シングル『何度目の青空か?』に収録された個人PV「卒業式のあとに、」が、頃安×若月の初作品となる。

https://www.youtube.com/watch?v=a1CAKBzBj_o
(※若月佑美個人PV「卒業式のあとに、」予告編)

 美大進学を目指す受験生(若月)が参考書を探しに入った古書店で出会った店員(関口崇則)と、ほのかに心理的距離を縮めていく。やがて卒業式の日を迎え、下校後に古書店に立ち寄った若月は店員に美大合格を告げ、ささやかな約束をしたのち帰路につく。

  1. 1
  2. 2
  3. 3