たとえば、昨年12月17日の更新分(/articles/-/70733)では生駒里奈と伊藤万理華のペアPV「あわせカガミ」をとりあげ、志村貴子のマンガ『青い花』からのインスピレーションを、高橋が乃木坂46の映像作品に落とし込んだショートドラマとして同作品を捉えた。

https://www.youtube.com/watch?v=OO9Co_WA9dk
(※生駒里奈・伊藤万理華ペアPV「あわせカガミ」予告編)

 生駒と伊藤が双子の役を演じ、両親の離婚によって離ればなれになる直前のひとときを描いた「あわせカガミ」は、それまでと同じ環境ではいられなくなる二人が別離を目前に鎌倉を歩き、静かに思い出を刻んでゆく傑作である。同時に、この作品は志村貴子『青い花』の舞台のモデルとなった鎌倉文学館など湘南エリアを二人がめぐる、ロードムービー的な趣をたたえたドラマでもある。

 あるいは、「旅」そのものを統一テーマにした3rdシングル『走れ!Bicycle』の個人PVに招聘された高橋は、生田絵梨花の個人PV「1/24物語」を担当し、手回しムービーカメラを携えて尾道を歩く生田の姿に、映画監督・大林宣彦へのオマージュを重ねてみせた(/articles/-/70732)。

 それらの個人PV/ペアPVから今春のドラマ「猿に会う」までを連ねてみるとき、高橋栄樹と乃木坂46がタッグを組むドラマ作品には、“ロードムービー”というキーワードを見出すことができる。乃木坂46との関わりが決して多いわけではない高橋だが、彼は乃木坂46メンバーを主演に据えて、繰り返し旅情を映し出してきた。

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