それでもなお、総選挙では上位をキープしながらもトップが中々取れずにいた渡辺。「AKB48 37thシングル 選抜総選挙」で対照的な個性を持っている指原莉乃を押しのけてトップに立ったのは非常に興味深い。そこには渡辺のプロ意識と努力に照らしてみれば必然的な結果を感じてしまうが、正統派がAKB48で認められたことにこそ大きな価値を見出すことができるだろう。

 渡辺がアイドル人生を通して示してきた正統派アイドルという遺伝子は渡辺の卒業後も脈々と後輩たちに受け継がれ、継承されていく。渡辺が後継者として指名した小栗有以や総監督の向井地美音など、これからAKB48を引っ張っていくアイドル達が、渡辺が残したアイドルとしての生き様を体現していくことだろう。

 AKB48卒業後のインタビューでは「失ったのは豊かな心」とアイドル時代に失われたことを切々と語っていた渡辺。彼女を芸能界で見られなくなってしまうのは残念だが、これからの人生が豊かになることを願ってやまない。アイドルの手本を示し続けてくれた渡辺麻友への感謝とともに。

(文=川崎龍也)

アイドルセンター論

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