松村沙友理の「教習所ビデオ」をネタにした個人PVが持つリアルとフィクションの倒錯【乃木坂46「個人PVという実験場」第15回4/5】の画像
松村沙友理

乃木坂46「個人PVという実験場」

第15回 既存の表現を自身の表現とする方法論 4/5

■個人PVは明確なストーリーを掴ませないまま完結してしまえる

 前週(https://taishu.jp/articles/-/91574)に取り上げた斉藤優里の個人PV「愛の二等辺三角形」は、架空のドラマ予告集の体裁をとり、かつての青春ドラマをパロディ化して笑いを生む、監督の森翔太特有のセンスが鮮烈に発揮された作品だった。こうした架空のドラマあるいは映画の予告をモチーフにした個人PVには先例がある。それは2014年、『夏のFree&Easy』に収録された松村沙友理の個人PV「PSI」(監督:吉田徹)である。

https://www.youtube.com/watch?v=jpWqxY4bj7M
(※松村沙友理個人PV「PSI」予告編)

 超能力を含意する語“PSI”がキーワードとなったサイキックサスペンス風の予告編、もしくはダイジェストのように構成された本作。車の助手席で目を覚ました松村は自身が直前に何をしていたのか、運転席に座る人物が誰なのかさえ思い出せない。

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