■“投手補強プラン”は桑田のコーチ入閣

 ならば、外国人助っ人で強力な先発を探していたのかというと、さにあらず。

「巨人の外国人補強は大砲メインで、メジャーからスモーク(34)とテームズ(34)を獲得しています。原監督は、日本シリーズでホームランを放つなど大活躍した、ソフトバンクのグラシアル(35)のような“打てる助っ人”が欲しくてたまらなかったんです」(前同)

 こうした巨人の補強戦略は、球団OBや多くの専門家から疑問視されていたが、実は原監督はきちんと“投手補強プラン”も進めていたという。それが、桑田真澄氏(52)のコーチ入閣だ。

「原さんが球団に桑田を招しょう聘へいしたいと伝えたのは、12月下旬のこと。この時点では、菅野の流出は確定的とみられていました。つまり、原さんは菅野の穴を埋めるのは、新たな投手ではなく、桑田だと考えていたわけです。桑田に、今いる選手を覚醒させてもらおうと考えたんです」(巨人球団関係者)

 投手チーフコーチとなった桑田氏の存在は、想像以上に大きいという。

「桑田さんは1軍から3軍まで、横断的に投手を“巡回指導”できる立場です。プロのコーチ経験はありませんが、現役時代から理論派で知られ、キメ細やかな指導が期待されます。さらに、投手の分業が全盛の時代に“先発は完投すべき”と宣言したことも注目です。これは時代錯誤な精神論ではありません。桑田さんは“体が未熟な高校球児には投球数の制限を設けるべき”と主張していますが、現在のように、中5日、6日のローテーションのプロ投手なら、完投は十分可能だというわけです」(前同)

 先発投手の完投数が増えれば、中継ぎ投手陣への負担は大きく軽減される。

「昨季の終盤、中継ぎの要である中川皓太(26)が連投による故障で戦線離脱したら、巨人の勝率がグッと下がりましたからね。リリーフ陣の負担減は、チームの勝利に大きく貢献するわけです」(前出の担当記者)

 菅野の残留と桑田氏のコーチ就任で、昨季以上の投手力が期待される巨人だが、“ペナント独走”を示唆する根拠は、これだけにとどまらない。

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