■誰もが緊張する開幕戦で“仰天采配”

 さて、今年も各球団の開幕投手が発表された。

「注目は、阪神の開幕投手に指名された藤浪晋太郎(26)でしょう。イップスからの復活を期した昨季は、主に中継ぎを担当。今季が、先発に完全復活できるかの正念場ですからね」(スポーツ紙阪神担当記者)

 一方で、開幕投手がなかなか決まらない球団もある。DeNAだ。これには、今季から指揮を執る三浦大輔監督自身の“経験”が影響しているとみる向きもある。

「現役時代、“ハマの番長”としてチームを支えた三浦さんは7度、開幕投手として投げて1度も勝てなかったんです。満を持して臨んだ2009年の中日戦は、“7度目の正直”になるはずでした。ところが、この試合でも持病の“一発病”に泣き撃沈。ブランコ、森野将彦にソロを打たれると、和田一浩には2打席連続でスタンドに運ばれ、東尾修さんの持つ開幕連敗記録を塗り替えてしまったんです」(前同)

 三浦監督は、開幕戦の重圧を知るからこそ、慎重なのかもしれない。

 逆に、誰もが緊張する開幕戦で“仰天采配”を振るった指揮官もいる。中日の落合博満監督だ。

「03年の秋に監督に就任した落合さんは、選手の背番号をシャッフルした以外は、目ぼしい補強をしないまま、シーズンを迎えました。04年シーズンの開幕戦は、ホームのナゴヤドーム。監督1年目ということもあり、球界関係者、ファンが注目する中、落合監督が開幕投手に選んだのは、なんと川崎憲次郎だったんです」(夕刊紙運動部記者)

 順当にいけば、エース格の野口茂樹や川上憲伸が選ばれていたはずだが、「川崎は00年オフにヤクルトからFAで中日に移籍して以来、故障に悩み、一度も1軍のマウンドに立っていませんでした。当然、落合監督の決定には批判が噴出しましたが、彼は“チームを生まれ変わらせるために、3年間最も苦しんだ男の背中を見せなければならない”と、雑音を一蹴。予定通り川崎を先発させたんです」(前同)

 結果はさんざんで、川崎は2回5失点で降板。チームは逆転勝ちしているが、落合采配は裏目に出ている。

「川崎の起用は結局、“開幕戦も数字のうえでは138分の1(当時は138試合)”という、落合監督の合理的な采配だったのかもしれません」(同)

 “オレ流”を監督デビュー戦でかましてくれた落合監督は見事、その年、リーグ優勝を果たしている。

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