金メダリスト森末慎二の緊急提言「東京五輪と日本体操の“未来”」の画像
森末慎二

 なかなか収束の気配が見えてこないコロナ禍の中、7月に迫った、2021年東京オリンピック・パラリンピック。開催は、はたしてどうなるのか? 1984年のロス五輪、器械体操の鉄棒で3回連続10点満点を叩き出して金メダルを獲得した、伝説の“五輪満点男”森末慎二氏が、本誌に緊急提言!

――いずれの世論調査でも「東京五輪を中止すべきだ」という意見が、最も多い結果です。この現状を、どう見ますか?

森末 IOCのバッハ会長は、先日も「安全で確実に開かれる」と言っていて、菅義偉首相も大会組織委員会の橋本聖子新会長も、その方向で発言をされています。けど、国民は、どう思うんでしょう。体操は、選考を兼ねていた5月のワールドカップが中止になってしまいました。他の競技でも同じように予選会の開催もままならないという状況の中、本番だけやりましょうと言われても、誰だって「どうやって?」と聞きたくなりますよね。

――日本だけではなく、世界的にも同じような状況ですね。

森末 本当に今年、開催するとなると、特に感染規模の大きな欧米の参加は難しいんじゃないですか。そうなると、「オリンピック」というよりも、実質的には「アジア大会」になっちゃう。僕が一番いいのではないかと思うのは、1年ではなく4年延期して、2024年を東京にしてもらうことですよね。で、2028年をパリにするっていう、4年スライド案です。

――パリも、しばらくは五輪どころではないかもしれませんからね。

森末 それで2032年をロスにすると、1932年のロス五輪から、ちょうど100年。アニバーサリーにもなって、アメリカもすごく盛り上がるんじゃないかと思うんですよ。

――確かに、そうですね。

森末 でも、4年もずらすと、それはそれでお金がかかるんですよね。競技場や選手村含め、いろんな施設を五輪後に取り壊して、次に何かに変える、みたいな計画がありますから、それごと4年送りになる。その間の維持費や損害を、どこが、なんのお金で補填するのかといった、さまざまな問題が出てくる。だから、なんとしても今年やりたいというのが、上の人の本音なのかもしれません。

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