■五輪のプレッシャーで発熱!

 森末氏自身は、大学卒業後、ナショナルチームに入ると、初めての海外遠征で優勝。しかし、その後は、ロス五輪の金メダルまで一度も優勝していない。巡り合わせがよかったと自嘲気味に語る。

――ロス五輪は、3回の10点満点を出して、表彰式でも「パーフェクトスコア・テン!」という異例の感動的なアナウンスがありました。特に印象的だったのは、やはり団体自由演技の降り技「後方3回宙返り」です。

森末 あれは練習でも10回に1回しか立てない技でした(笑)。

――種目別では、3回宙返りではなく、後方伸身2回宙返り(スワンダブル)でした。

森末 最後の種目別決勝を前に、急激なプレッシャーのせいで39度の高熱が出てしまったんです。食べても吐いちゃうし、眠れない。ドーピングに引っかかるから薬も飲めないという中で、少しでも確率の上がるスワンダブルにしようということになったんです。スワンダブルも試合では一度も使ったことのない技で、練習でも、そんなにうまくなかったので、どっちにしても一か八か。今思えば、よくやったなと思いますよ(笑)。

――そんな森末さんは、アスリートが大一番で持てる力を十分に発揮するために、一番大切なことは、なんだと考えていますか?

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