■桑田に届いた清原からの伝言

 一方、80年代後半の球宴を席巻したのは、いわずもがなの“KK”コンビだ。

 とりわけ、清原和博(西武)はルーキーイヤーから、通算7度ものMVPを獲得した稀代の“お祭り男”。思い出の地・甲子園を舞台に、因縁の盟友・桑田真澄(巨人)から放った87年第3戦の本塁打は、ファンの記憶にも鮮烈に刻まれた。

「清原の意地の一発には、こんな裏話が。最近、桑田本人が明かしたんですが、初対決の直前、記者を通じて清原から“球宴はお祭りだから、インハイにスーッと投げてくれ”との伝言を受け取った。桑田は戸惑いつつも“そんなものか”と思って投げたら、ものの見事に打たれた。本人も“エ~、打つの!”と仰天したそう(笑)。2度目の球宴出場だった清原のほうが一枚上手でしたね」(前同)

 また、90年代に入ってからは、のちに海を渡るスターたちも続々登場。

 94年には、時を違えてピンストライプに袖を通した伊良部秀輝(ロッテ)と松井秀喜(巨人)の“159キロ剛速球対決”が実現。この2人に加え、新庄剛志(阪神)、イチロー(オリックス)らとともに、プロ1年目の同年に初出場を果たしたのが、阪神に所属していた藪恵壹氏だった。同氏は、伊良部VS松井の対戦を至近距離で目撃した。

「勝負はセカンドゴロで軍配は伊良部。150キロを超える彼のフォークは、間近で見ると本当にすごかった。晩年は阪神で一緒でしたが、あの体格に、あれだけのヒールアップですから、他とは迫力が違いましたよね」

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