若いつもりでいても、50歳を超えると、歯、目、下半身の衰えは深刻だ。そこで今回、各界の専門家たちを直撃。アイテム選びのコツ、そして、より効果的な使用法を聞いた。
■歯周病を予防して自分の歯を守る!
50代後半の記者は、すでに13本の歯を失っているが、『ホワイトホワイト デンタルクリニック』院長の石井さとこ氏によると、「歯は歯磨き次第、80歳になっても保てる」という。
「多くの人は間違った歯磨きをしているんですね。たとえば毛先が硬すぎる歯ブラシで歯磨きをしてしまい、逆に歯の寿命を縮めてしまったケースもあります」
正しい磨き方は次のページを参照してほしいが、歯を失う理由には大きく二つあるという。
一つが、歯そのものに菌が付着して表面を侵蝕する虫歯。穴が根元まで進むと、歯が抜け落ちてしまう。
もう一つが、歯と、これを支える歯肉の間(歯周ポケット)にたまる歯垢で菌が増殖する歯周病(歯槽膿漏)だ。放っておくと歯の根元の骨までがボロボロになってしまうが、中高年が歯を失うのは、この歯周病が原因なことが多い。
「中高年の歯磨きでは、歯自体を磨くことはもちろん、歯と歯肉の隙間(歯周ポケット)にたまった歯垢を歯磨きでかき出すことも、重要になってきます。極論すれば、いい歯ブラシとは、歯垢をかき出しやすいものなんです」(石井氏)
歯と歯肉の隙間は健康な人で2~3ミリ。これが歯周病の進行とともに広がっていく。
「最近は毛先がギザギザのタイプなど、さまざまな歯ブラシがありますが、隙間に最も入れやすいのはスタンダードなフラットタイプでしょう」(前同)
ヘッド部は小さめが望ましく、ブラシ部は4列より3列のほうがいい。
「歯磨きは前歯から奥歯まで1本1本、前、後ろ、両横の隙間を丁寧に、毛先を入れて磨くことが大切ですが、太い歯ブラシだと奥が磨きにくいんです」(同)
同様に、ブラシの毛が埋め込まれた部分も薄いほうが奥歯までしっかり磨ける。
歯ブラシの毛先は硬めから柔らかめまであるが、これは普通がいいという。
「硬めのものは歯肉を傷つけてしまいます。歯肉部に強い刺激を与えると下がってしまうんですね。歯肉はいったん下がってしまうと元には戻りません」(同)
では具体的に、どんな歯ブラシがいいのか。
石井氏が使っているのはライオンの『クリニカ・アドバンテージ』だ。
「ヘッド部が薄くて磨きやすいんですね。この他、サンスターの『バトラー#222』やテムコの『サ・レ・ド』などもオススメです。『サ・レ・ド』はヘッドだけ交換できるため、最適な硬さの毛先を常にキープできるメリットがあります」(同)
最近は電動歯ブラシも人気だが、どうなのか?
「電動は、ブラシの毛先を歯と歯肉の境目に入れにくく、じっくり磨くのが難しいですが、パワーがあって時短で歯垢を落とすので、昼食後などの使用には有効だと思います」(同)
歯がなくなると見た目も悪く、硬いモノが噛めなくなる。記者の場合、食事は
「柔らかいもの」が最優先になり、よく噛む必要がある生野菜を敬遠しているが、これではいけない。さらに、歯周病は糖尿病や高血圧などを悪化させる原因ともなってしまう。
生涯現役のためには“かき出す歯磨き”をしよう!