■誤ったサイズの靴は健康を損なう!
「男として生涯現役を目指すなら、歩くことです。歩行で骨に適度な衝撃が与えられると、オステオカルシンというタンパク質が分泌され、骨の強化はもちろん、筋力、精力なども高め、体に若返り効果をもたらしてくれます」と語るのは、日本ウォーキング協会理事長で、『ひとりでできる操体法』(実業之日本社)の共著がある池田克紀・東京学芸大学名誉教授だ。
そして、歩行の健康効果を最大限に得るために必要となってくるのが、正しい靴。靴合わせの専門家を養成する機関『足と靴と健康協議会』の事務局長で、自らも上級シューフィッターの資格を持つ木村克敏氏が、こう力説する。
「足は、建物でいうところの土台です。誤ったサイズの靴をはき、土台が崩れたまま歩き続ければ、足首や腰だけでなく、肩や首などの上半身までダメージを与えます。健康に歩くためには、自分に合った靴をはくのが絶対条件なんです」
では、どのような靴をはけばいいのだろうか。まずは、日々の仕事を支えるビジネスシューズの選び方から。靴を購入するにあたり、初めにやらなければならないことがある。
「中高年になると、加齢によって土踏まずの部分が平たくなる人が多く、その分、足の長さが伸びて、足幅も広くなります。若い頃と同じサイズの靴ではキツいかもしれないので、まずは靴屋さんに行って、足のサイズを測り直してみましょう」(前同)
自分の正確な足のサイズが分かったら、次は靴選びだ。靴は必ず試着しよう。
「同じサイズでも、人によって甲の高さや、足幅などは違います。足のプロポーションと、靴のプロポーションを一致させるのが、靴選びで失敗しないコツです。サイズはあくまで目安なので、店員さんと相談し、必ず一度は、その靴に足を入れてみてください」(同)
試着時のチェックポイントは、次の通りだ。
「長さが足りず、指先が靴にぶつかるのはダメです。さらに、爪が靴の上部に当たっていると、巻き爪などになりやすくなります。爪先から靴の先まで1~2センチほどの空間的余裕(捨て寸)があるか、チェックしてください。足幅と甲の部分は、はいたときに圧迫感を感じたら、いけません。シックリとくる感覚が大切です」(同)
そして、最も重要なのが、かかとだ。実際に歩いてみて、かかと部分が脱げてしまうのはNGだ。
「足を上げた際に、かかともピタッとついてくる。そういう靴をはかないと、靴ズレが起きやすくなります。ブカブカの靴は一見、楽そうですが、百害あって一利なしです」(同)