■“熱い松坂”と“ぬるい佐々木”

 江川に続く“怪物の系譜”に名を連ねるのが、先頃、今季限りの引退を表明した西武の松坂大輔と、ロッテの佐々木朗希。「平成&令和の怪物対決」だ。

「にじみ出る勝ちに対する執着やプライド。投球術から精神的なタフさまで、あらゆる面で大輔が上。言い方は悪いけど、“熱い松坂と、ぬるい佐々木”。現時点ではそれぐらいの差は感じるよね。“とりあえず5回”が及第点の佐々木に対し、当時の松坂には“こいつに全部、任せよう”ぐらいの信頼が最初からあったしね」

 そう語るのは、松坂の母校・横浜高校の先輩、愛甲猛氏。球界屈指の好打者として鳴らした氏には、「新旧“おばけフォーク対決」、野茂英雄vs千賀滉大の一戦もジャッジしてもらおう。

「千賀のそれは佐々木(主浩)に近いハードフォークだから、野茂とはまたタイプが違うけど、ハマったときの球は、“打て”と言われても、どちらも打てない。ただ、どちらかを勝者とするなら、成績の面でも突出していた野茂なのかな」

 むろん、ここ数年は千賀の存在感も圧倒的。昨年までの5年間で62勝を挙げたエースの活躍は、王者ソフトバンクの象徴でもある。

「もう一つ、打者目線で言うなら、適度に荒れる投手のほうが、コースに目をつけにくい分、厄介ではある。大輔もそうだったけど、球威で押すタイプの投手には、まとまりすぎないっていうのも、意外と重要な要素なんだよね」(前同)

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