■巨人軍新旧4番対決は!?

 続いては、ONの後継者として、絶大な人気を誇った“若大将”原辰徳と、侍ジャパンの一員でもある岡本和真の「巨人軍新旧4番対決」だ。原の入団時からその活躍を知る、2学年先輩の角盈男氏は、こう語る。

「どちらがホームランバッターかという問いなら間髪入れずに岡本だけど、原辰徳という男には、岡本にはないドラマがある。高校、大学とエリート街道を歩いてきて、プロではOとN両方の役割を演じる宿命も背負ってきた。それで、あそこまでの結果を残したわけですから、間違いなく替えの利かないスターでしたよ」

 現役当時、原はチャンスで凡退すれば、「勝負弱い」と辛辣な批判を浴びた。だが、「そういう星の下に生まれてきた男」(角氏)というのが、チーム内での共通認識でもあった。

「不調を理由に打順を下げても、勝負を決めるような打席は必ず彼に回ってくる。そういう数奇な巡り合わせを目の当たりにして、監督の藤田(元司)さんも“この子は生まれ持っての4番なんだ”と、考えを改めたと聞きました」(前同)

 巨人軍の「4番サード」は、ミスターから原、そして岡本へと連綿と続く、スター選手に与えられる特別なポジションだ。

「そもそも、中畑(清)さんのケガがなければ、“サード原”もなかった。そういう意味でも、すべてにおいて“持っている男”でしたよね」(同)

 角氏と同時代の巨人には、江川卓という“怪物”もいた。江川の「ホップするストレート」は、球速以上の威力で、並みいる強打者をキリキリ舞いにさせた。現在、往時の江川をほうふつさせる速球で名をはせるのが、オリックスのエース、山本由伸。この「本格右腕対決」の勝敗はいかに。

「年を取ったせいとは思いたくないけど、これも江川さんが勝ちでしょう。あれだけ世間を騒がせて、チーム内でも相当反感を買っていたのに、右腕一つで周囲を納得させた。そんな投手、やっぱり他にいませんよ。実際、僕も小林繁さんが同郷だったこともあって、最初は嫌いだったクチ。でも、いざ能力の高さを、この目で見たら、すぐに脱帽でしたしね」(同)

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