清原和博「涙の日本一!」長嶋茂雄、田中将大…プロ野球『日本シリーズ』伝説の激闘“知られざる裏側”の画像
清原和博

 セ・パ両リーグの覇者たちが雌雄を決する日本一の大舞台。投手、打者、監督らが死力を尽くした舞台裏を総力取材!!

 プロ野球シーズンの最後を飾る日本シリーズが、11月20日に開幕する。そこで繰り広げられるのは、頂上決戦にふさわしい熱いドラマだ。

 今回は、そんな熱き日本シリーズが生んだあまたの名勝負から、選りすぐりの“秘話”を届けたい。まずはやはり、この人。大一番ほど誰より燃えて結果を出した“シリーズ男”長嶋茂雄の活躍だ。

「日本シリーズでの通算91安打、66打点。4度のMVPは、いずれも歴代最多。そんな大舞台に強いミスターらしさを最も感じさせたのが、レギュラーシーズンでは打率.269といま一つだった1970年。ロッテとのシリーズでした」(スポーツ紙デスク)

 その真骨頂と言えるのが、当時10歳の浩宮様(今上天皇)も観戦に訪れる中で行われた第3戦だ。

「かの“天覧試合”よろしく、延長11回裏に日本シリーズ史上初となる通算20号の2ランを放って試合を決めた。実はこのとき、ミスターは高熱を押しての強行出場。それでも打率.421、4本塁打でMVPですから、やはり天性のスターです」(前同)

 一方、そこで輝く長嶋の姿が「自身の意識を改める契機になった」と語るのが、対するロッテの三塁を守っていた有藤通世氏だ。

「ただもう脱帽するほかなかったよね。かたや私は気持ちが先走って空回り。相手バッテリーもアルトマンを避けて私との勝負を選ぶほどの有様でした。巨人というチームの洗練された戦いぶりと、長嶋さんのすさまじさ。その後の私があったのは、2年目にして、それを目の当たりにできたことが大きかった気がします」

 そのミスターを4本も上回る、歴代トップの通算29本塁打を放っているのが盟友で“世界の王”王貞治。中でも王自身が「最も心に残る本塁打」として挙げるのが、71年の阪急との第3戦。山田久志から打ったサヨナラ3ランだという。

「0対1で迎えた9回裏2死一、三塁からの一撃でした。被安打わずかに3本と絶好調の山田に対し、王はそれまで3打席で凡退。それでも、走者を置いてセットポジションに変えた山田の微妙な“間”を見逃さなかった。ふだん冷静な彼が珍しくガッツポーズを見せるのだから、よほど会心の当たりだったんでしょう」(ベテラン記者)

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