■MLBが“二刀流選手”のルールを新設するほど

 プロ入り後の2016年に、当時の日本最速となる165キロを達成する大谷だが、12年のドラフト会議前にメジャー挑戦を表明。日本ハムが強行指名するも、その意志は固かった。

「大谷を翻意させたのは、日ハムが提示した“二刀流”挑戦プラン。投手と野手の両方をこなすことに、球界に賛否の嵐が吹き荒れましたが、この決断が間違っていなかったことは、もう誰もが認めるはず」(前同)

 大谷は1年目から二刀流として活躍し、翌年には「2ケタ勝利2ケタ本塁打」をマーク。16年には日本球界初の「10勝、100安打、20本塁打」を達成する。

「圧巻は、16年7月3日のソフトバンク戦。1番・投手で先発して、初回に初球を先頭打者ホームラン。漫画のワンシーンのようで、本当に強烈でした」(同)

 18年に念願のメジャー移籍を果たした後も、二刀流を続行。

「Two-Way Player(ツーウェイプレーヤー)」として、4勝22本塁打を記録し、全米に衝撃をもたらした。

「大谷の活躍で、20年にはMLBが“二刀流選手”のルールを新設。さらに、今季のオールスターでも、特例で“1番・DH”なのに先発登板しましたし、歴史あるMLBが大谷で左右されるんだから、すごいですよ(笑)」(球界関係者)

 そして今季、二刀流はついに本領を発揮。投手として9勝156奪三振、打者として46本塁打100打点26盗塁をマーク。MLB史に残る数々の大記録を打ち立てた。現役時代に大谷と対戦経験もある野球評論家の里崎智也氏は、今季の大谷について、こう語る。

「今年に関しては、二刀流を1年間続けて、それを成し遂げた。やはり、誰もが指摘する、その点を大絶賛したいですね。日本でもシーズン通して、やったことはなかったはずですから」

 そんな大谷の大活躍に、大リーグ評論家・福島良一氏は一つの賞に注目する。

「『コミッショナー特別表彰』は、過去に15 人しか表彰者がいない特別な賞。今年の彼のすごさは、二刀流に成功したこと。そして彼の二刀流が、投げて打ってという野球本来の楽しみを再発見させてくれたこと。それをメジャー主催者も認めたということでしょう」

 大谷の二刀流の大成功の陰には、幼少期より、すべてを野球に捧げてきた、そのストイックさがあることは言うまでもない。

「これだけ活躍しても、現在の年俸は4億円程度。相場の10分の1だといわれています。しかし、彼はお金にまるで執着がなく、ただ試合に出て楽しみたいという姿勢。これも彼の魅力ですよね」(福島氏)

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