■阪神タイガースや巨人は

 開幕から前半戦は絶好調。9月中旬まで首位だった阪神の矢野燿大監督は、後半になって息切れ。最後には5厘差でヤクルトにまくられると、CSでも死に体の巨人にいいようにやられた。

「前任の金本知憲監督と違って、球団フロントのおぼえがめでたい矢野監督は、捕手出身らしい目配りができる。しかし、それゆえに失速したともいえます。敵は相手チームだけでなく、佐藤輝明の起用法など、ファンの反応を見て口まで出してくるフロントも問題。これと今後どう対峙していくかが課題でしょう」(前同)

 近本光司、中野拓夢の1・2番コンビだけで54盗塁をあげた機動力と佐藤のフルスイングで勢いに乗るも、両リーグ最多の86失策をはじめ、中軸の大山悠輔や外国人選手が後半戦に調子を落としてまさかのV逸。矢野監督は「采配であったり、掛ける言葉であったり、何かできることがあったんじゃないかと。だからこそすごく悔しい。チームとしての成長と、僕の成長。それが必要だと身をもって感じている」とシーズン後に悔しさを吐露した。

「普通のチームなら8月に優勝を決めていますよ。ケガ人が出たとか原因はいろいろ言われるけど、結局、阪神というチームはどこかでモチベーションが落ちるんだよね」(江本氏)

 一方、巨人の原辰徳監督も往年の名采配は最後まで見られず。CSでも、ヤクルト相手に見せ場なく敗れた。

「五輪休みを見込んで前半戦終盤に投手をつぎ込んだのが完全に裏目で、投手陣が1か月じゃ立て直せないほど疲弊してしまった。さらに原さん主導で獲得した中田翔の失敗でミソをつけているから、かつての“愛弟子”大田泰示の補強もできない。原さんは来年が正念場ですよ」(巨人球団関係者)

 巨人の次期監督は、阿部慎之助オフェンスコーチというのが既定路線だが、原監督があと3年指揮をとることが決定した。

「このチームのままでは次に渡せないというのは、原監督自身が一番分かっているはず。巨人の選手は体も心も、もう一回作り直さなきゃいけない。普通10連敗したら夜も寝れないけど、巨人の選手からは緊迫感が感じられなかった。選手のケツを撫でてばっかりのコーチじゃなくて、厳しさを取り戻さなきゃ」(江本氏)

 前出の伊原氏も、「続投に関しては僕の立場から異論はない。それは読売グループが決めること。ただ、今年の原監督は選手起用の面でコロコロ変えすぎた。どしっと腰を据えていないと」

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