■パワハラにウンザリ、たけし軍団脱退を申し出たら

「オチを決めて、フリを作っていくんだよ」

「たけし軍団はパワハラとセクハラを中心とした芸能活動」と常々公言する博士。若き日、兄弟子たちのパワハラにウンザリして、軍団脱退を申し出たという。

「たけしさんに“本当に辞めたいのか?”と聞かれて、僕と玉袋(筋太郎)は“辞めたくないです”と答えた。すると“おまえら漫才が書けるよな。オチを決めてフリを作っていくんだよ”と言われたんです。以来、僕の人生の指針です」(同)

 ゴール(オチ)を決めて、そこに至る過程(フリ)を考える。すべては、漫才師として成功するための“フリ”だと、たけしに諭された浅草キッドは、たけし軍団の三軍として雑用や無理難題に耐えながら漫才を作り続け、メディアで活躍する道を切り開いた。

「生と死というよく分からない始まりと終わりがあって、人生はその“間”でしかない」(著書『間抜けの構造』)

 漫才の巧拙を左右する間。それは人生においても重要だと説いている。

「間をいかに埋めて、リズムを作るかの腕を競うのが漫才です。勝新太郎さんもそうだけど、芸能の達人たちは“芸は間が大事”と必ず言及しているけど、たけしさんは、さらに“人生は間”だという。物事を俯瞰で見る能力がずば抜けて高く、その力があればこそ『世界のキタノ』に上りつめたのだと思います」(同)

「今も夢の中で生きていて、夢が覚めるんじゃないか」

 博士が忘れられないというこの言葉は、たけしが時折、つぶやいていたという。

「本当はバイク事故で寝たきりになって管につながれたままベッドにいて、この現実は自分の夢ではないか、と。『俺は“ビートたけし”というぬいぐるみを着てるのかもしれないな』とも言っています。どんなに周囲に持ち上げられても、自分を見る目は冷徹なんです」(同)

 クールに自分を見つめるたけしだが、その彼が会見場で激怒し、誰も止められない事態になったことがある。芸能レポーターの川内天子氏は、こう証言する。

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