■Q.失職などで年金が払えなくなったら、どうなる?

A.年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建てで構成され、60歳から追加負担となる見込みの国民年金は1階部分の老齢基礎年金にあたる。会社員は、それにプラスして2階部分の老齢厚生年金を受給できる。その1〜2階を合わせて老齢年金と呼んでいる。

「その老齢年金には繰り上げ受給が認められています。65歳からの受給が原則ですが、60歳へ繰り上げての受給も可能です。この制度を利用すれば、仮に60歳で定年を迎え、再雇用を受け入れずに無職でいても、年金をもらうことができます」(転職情報誌ライター)

■Q.繰り上げて受給すると損をする?

A.早く受給できる分、年金額そのものが減額になる。

「今年3月までは、減額率が1年につき0.5%でした。65歳からの老齢基礎年金の額が年180万円として計算すると、60歳からの繰り上げ受給を選択した場合、年金額は126万円になります。結果、1年間で54万円も損する計算になります」(前出の政治部記者)

 ただ、4月から、この減額率が0.4%と、65歳から支給される年金額との差がわずかに縮まった。それでも先ほどのケースで、65歳からの年金額180万円と比べると、43万円減の137万円になってしまう。

「ただ、1962年4月1日以前に生まれた人の場合は、減額率は従来の0・5%が適用されます。繰り上げ受給を選択すると、長生きすればするほど損する形になりますね」(前同)

 長生きすることに自信があるなら、繰り下げ受給を選択すべきだろう。これまで70歳までだった繰り下げ受給の年齢は、4月から75歳まで引き上げられている。

「毎月0.7%増額されるので、限度いっぱい75歳まで繰り下げると、年金額は84%も増えることになります」(同)

 年金問題に詳しい、ファイナンシャルプランナーの長尾義弘氏が解説する。

「繰り下げを選択すべきかどうかの損益分岐点は“プラス約12年”。つまり、87歳以上生きる自信があれば75歳まで繰り下げ、そこまでは無理としても、82歳までならいけると思ったら、70 歳までの繰り下げを選択するといいでしょう」

 70歳への繰り下げでも年金額は42%も増える。

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