■Q.将来的に年金受給額は減るのか?

A.残念ながら、減ることも予想されるという。前出の森永氏が解説する。

「国民年金の支給額が月5万円になるという推計は、先述の通りです。加えて、厚生年金も、月21万円(受給平均世帯の夫婦合計年金額)が30年後、月13万円まで下がるという推計があります」

 減額される理由の一つには、「マクロ経済スライド制度」がある。物価や賃金などが上昇しても、調整が入り、支給の伸びが抑えられるという制度だ。ちなみに、今年度の基礎年金額は、この制度によって昨年度より0.4%減額されている。

 一方、生活は維持できるという声もある。

「所得代替率といって、政府は現役世代の平均年収を基準に年金支給額を設計しています。現在の所得代替率は現役世代の6割台を維持。どれだけ下がっても5割は維持できる見通しです」(前出の長尾氏)

 年金を受給する際、現役バリバリで働いている世代の半分の年収は確保できる計算だという。

■Q.未納者が2割もいるが、本当に大丈夫なのか?

A.年金は破綻しないというのが、専門家の共通認識だが、未納者が多くなれば、年金制度は維持できなくなるはず。

「確かに国民年金の保険料未納者が2割いるのは事実です。一方、厚生年金の保険料は給料から天引きされますから、未納はほぼ起きません。国民年金に限れば高い割合に思えますが、全体で見ると、年金保険料の未納者は2%弱に過ぎないんです」(前同)

■Q.年金運用に国が失敗したという話をよく聞くが、大丈夫か?

A.年金を支給するための財源は3つある。

「まず1つ目は、国民が支払う保険料で、およそ39兆円。2つ目が国庫からの支出で、およそ13兆円。そして、3つ目がGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用資金です」(全国紙経済部記者)

 よくマスコミで「赤字になった」と報じられるのはこのGPIFの運用資金だ。

「運用が悪いと報道され、良いときには報道されないので、運用に失敗しているという印象を抱きがちですが、累積では100兆円以上の黒字になっています。仮に年金給付のために、ここから取り崩したとしても、運用益の部分で事足りるため、元本は手つかずで残ります。そもそもGPIFの運用資金は年金の1割に過ぎず、もしも運用成績が急激に悪化しても、年金を支払えない事態には陥りません」(長尾氏)

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