■公認会計士になった元阪神タイガースの選手

 さらには、引退後に難関資格を取得し、野球とは対極にある専門職に就いた、驚くべきセカンドキャリアを歩む元選手も存在する。

「元プロで、初の公認会計士になった元阪神の奥村武博さんにも驚かされましたが、3年前に東海大学医学部に合格した、元DeNAの寺田光輝さんは、ある意味、大谷ぐらい奇跡的な存在かもしれません」(前同)

 寺田氏は中学、高校通じて補欠、大学でも一度は野球を辞めて休学、独立リーグを経てプロ入りしたという異例の経歴の持ち主だ。

「学生時代は、そこまで学力に秀でたほうではなかったそうですが、医学部受験を決めてからは、予備校に勤務しながら1日5時間勉強を続け、短期間で合格。やはりプロになるほどの人は、圧倒的な集中力を持っているんでしょうね」(同)

 パンチ氏も同調する。

「野球選手って努力できるんです。小さい頃から周りが遊んでいる中、コツコツと努力してプロの世界に立つんですから。だから、どんな業界でも大丈夫」

■第二の人生は9回裏が終わっても続く!

 多くの“第二の人生”を見てきたパンチ氏は、今、その岐路に立つ彼らに伝えたい思いがあるという。

「プロ野球の世界は竜宮城なんだと。何千万、何億円を稼いでも、引退後は本塁打王だって野球での収入はゼロなんだよと。だから、鈴木君のように、きちんと貯金をして、次の夢に向かって努力してほしいですね。

 過去の栄光にしがみつかず、プロ野球を辞めるときは、“ありがとう! いい夢、見させてもらったぜ!”っていう気持ちでいてほしい」

 野球人生を終えても、人生は続く。パンチ氏がお立ち台で残した名言、「下痢するほど飲みたい」と思えるほどの喜びが、グラウンドを去った後にもあることを、ファンは祈っている。

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