■解説者や芸能人の道はほんの一部

解説者や芸能人の道はほんの一部

 スター選手でも、解説者や芸能人の道に進めるのは、ほんの一部。花形職業といえど、その多くが旬を過ぎてしまえば、忘れ去られる宿命も背負っている。

「最近は、やりたい職業が見つかるまでやろうというスタンスの人も含め、毎年、3人程度はユーチューバーになっています」(村瀬氏)

 この分野で大成功を収めている元ロッテ里崎智也や、球界の裏情報を発信する元巨人の笠原将生など、内容も成功具合もさまざまだ。

「最近は飽和状態で、知名度だけでは成功しない世界です。逆に、元巨人の育成選手だった小山翔平さんは、現役時代は無名でも毎日、動画を上げ、過激とも言える“愛のある批判”を展開することで、人気を集めています」(前同)

■たゆまぬ努力の末、元プロが異世界転生

 一方で引退後、過去の名声に頼らない実力重視の世界に身を置く人たちも。

 パンチ佐藤氏は取材した中で、最も印象に残った元選手として、鍼灸師になった元オリックスのストッパー・鈴木平を挙げた。

「有名球団の選手やスター選手は応援してくれる企業が多いので、セカンドキャリアも決まりやすいんですが、彼は引退後に神戸の鍼灸養成施設に3年間通い、鍼灸師になりました。その間の収入はなし。奥さんが、ちゃんと貯金をしてくれていたんですよ。素晴らしい夫婦ですね……。あ、もっと詳しい話は連載をお読みください」

 村瀬氏いわく、別枠の三ツ間卓也のように、農家などの一次産業に身を置く元選手も増えているという。

「元日本ハムの菊地和正は現役時代から、こだわりの強い人でしたが、現在は上州勝五郎豚というブランド豚を育てています。元中日の清水清人さんは、島根県の漁師町・五十猛で育ったスラッガーで、落合監督時代には4番候補にもなりましたが、引退後に地元に戻り、海の男になりました」

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