野茂英雄と佐々木主浩がドラフト1位でプロ入り
その山田の引退から1年後、平成屈指の“大豊作ドラフト”となった89年には、のちに全米を席巻する野茂英雄、佐々木主浩が、ともに1位でプロ入り。
プロ1年目の90年から4年連続で最多勝に輝いた野茂に対し、佐々木は、その野茂の渡米と時を同じく、95年から4年連続“大魔神”として君臨した。
「打者心理からすると二つに一つ、というのは逆に難しい。野茂や佐々木のように仮に真っすぐとフォークしかなくても、それが、どちらも一級品なら、そう簡単には打てっこないよ」
こう指摘する愛甲氏によれば、野茂は「細かいコントロールはなかったが、フォークは落とし方を変えて、巧みに投げ分けていた」。
一方の佐々木も、カウントによって落とす角度を自在に操っていたという。
「96年の日米野球で組んだけど、彼のフォークは途中まで軌道が真っすぐと同じ。打者からすれば、本当に“消える”ように見えたはず。本人いわく、ストライクを取りたいときは捕手のマスク、決めにいくときは膝を目がけて投げていたようだね」(前出の西山氏)
今の大谷があるのも、レジェンドたちが築いたプロ野球の礎があればこそ。色褪せないレジェンドたちの偉業に思いを馳せるのも、プロ野球の醍醐味だ。