水上氏によれば、がんの治療は近年、機器も薬も技術も大変なスピードで進化しており、すでに健康保険適用になっている最先端医療もあるという。

●ラジオ波焼灼療法
「細い針をがん組織に刺して、ラジオ波(電磁波の一種)で焼いてがんを壊死させます。体に負担が少なく、体力的に手術のできない高齢者にも適した治療法です」(水上氏) 肝臓がんではよく行われるため、保険が適用される。肺がんでも行われるものの、こちらは自費となるので、ご注意を。

●血管内治療
「がん細胞を養っている動脈にカテーテルを挿入し、詰め物を入れるなどしてがん組織への血流を低下させ、がん細胞を殺してしまう方法です」(前同) 肝臓がんへの使用が多いが、カテーテルが届くあらゆるがんに応用できる。進行がんでも数回に分けて行い、がんが完全に消えたケースもあるという。

●休眠化学療法
「通常使用される抗がん剤の量は、がんのサイズを半分に縮めるのが目的。しかし、その分、副作用も大きいので、通常の量の半分から3分の1、場合によっては10分の1程度まで減らし、“がんを縮めるより進行を遅らせよう”という発想から考えられました」(同) これだと、1回の抗がん剤の量が少ないので、副作用が軽い。また、薬剤耐性が起こるのも遅くなる可能性があるという。

●キノコによる免疫賦活剤
「抗がん剤や放射線治療と併用し、シイタケなどのキノコから主成分を抽出した注射製剤を使用する方法です」(同) キノコには免疫力を上げる働きがあり、併用により抗がん効果を強めることが臨床試験でも認められているという。

 水上氏によれば、この他にも、「保険の効かない最先端医療」は、さらにたくさんあるという。その中でも、前出の生田氏が特に注目する療法がある。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9