■第2部 部位別がんの発見法■
自覚症状が出てからではもう遅い! 肺がん、胃がん、大腸がんが死亡者数トップ3

 がんの種類およびステージによって、生存率は大きく異なる。胃がんの場合で説明してみよう。がんが初期の「ステージ1」で発見され、ちゃんとした治療を施せば、10年後も95%の人が健在。しかし、ステージが2から先へ進むにつれて、生存率は落ち、5まで行くと、10年経っても生きている確率は7.5%まで落ちてしまうのだ。ステージにかかわらず、胃がんになった人全体の生存率では、治療開始から5年後で70.9%、10年後で69%となる。なお、「末期がん」とは、ステージ4よりさらにがんがあちこちに転移して、治療ができない状態のこと。手の施しようがないため、生存率のデータはない。

 さて、比較的完治しやすい胃がんに対して、すい臓がんの場合、ステージ1でも10年後生存率は30%を切る。ステージ4ともなれば0.9%と、生存率に大きな差があるのだ。「すい臓がんは極端に死亡率が高いのです。2011年のデータだと、胃がんになった人は13万人で、そのうち死亡した人は5万人。一方のすい臓がんの場合、3.3万人に対し、2.9万人が亡くなっています。そもそも、すい臓がんは他の場合に比べて自覚症状がないのです。そのうえ、体の奥に位置しており、動脈や十二指腸と接しているので、手術も難しい。もし手術ができても、がんを完全に取りきれないことが圧倒的に多く、周りに広がったり、肝臓に転移することがよくあります」(前出の水上氏)

 14年の厚労省のデータによると、日本人男性のうち、部位別死亡数のトップ5は肺がん(全体の6%、以下同)、胃(4%)、大腸(3%)、肝臓(2%)、すい臓(2%)の順となる。ここまで読んで、「あぁ、俺は会社の定期健診を毎年ちゃんと受けてて良かった」と喜ぶ向きもあるだろう。だが、水上氏が、その考えの甘さを指摘する。「それで見つかるのは、ほぼ進行がん。たとえば、健康診断では肺がんを見つけるために胸部のレントゲン検査をやりますが、これでは小さながんは見つけられません。さらに、そもそも、すい臓や肝臓がんの検査はされていないのです」

 というわけで、水上氏は1年に1度(50歳以下の人は、2年に1度)のがん検診を勧める。主ながんの検査法を、水上氏に説明してもらった。

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