■北朝鮮などのミサイルに対する備えも
災害のみならず、北朝鮮などが発射する弾道ミサイルに対する備えも、地域ごとに濃淡があるという。「弾道ミサイル防衛は、敵ミサイルをミサイルで撃ち落とすということ。日本海に展開するイージス艦がまず、その先兵となります。万が一、イージス艦が敵ミサイルを撃ち漏らした場合は、航空自衛隊が運用するPAC3(パックスリー)という車載式の地対空ミサイルで、迎撃を試みます」(防衛省関係者)
井上氏が言う。「PAC3の有効射程は、半径約50キロ。配備状況から、防衛可能なのは、東京などの政経中枢中心となります。大阪ですら“空白地域”になっているほどですからね。ただ、これは仕方がない話で、全国をくまなく守るためには、予算が圧倒的に足りないんです……」
PAC3は車両で展開できるが、あらかじめミサイルのターゲット地点を把握して移動することは、事実上難しい。そのため、政府は“陸上のイージス艦”と呼ばれるイージス・アショアの配備を決定している。「イージス・アショアが稼動すれば、現状の約10倍の広範囲を防衛できます。賛否がありますが、“防衛格差”を作らないためにも、必要な装備と言えますね」(前同)
天災のみならず、人災への備えも怠ってはならないのだ――。