バナー題字・イラスト/寺田克也
2001年にアブダビコンバット(ADCC)88kg未満級に出場し、日本人として歴代唯一の優勝を果たした“寝技世界一”こと菊田早苗。
02年12月には、自身が主宰するGRABAKAジムを中野区の東中野にオープン。現在は赤羽、東村山、練馬を含めた4カ所で展開する、総合格闘技ジムの中では老舗といってもいい、歴史あるジムだ。
選手としては90年代半ばから現役を続け、20年以上にわたり格闘技業界の好不況の波を知る菊田に、今回の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)による影響と、この苦境への立ち向かい方を聞いた。
一口に総合格闘技ジムといっても、GRABAKAジムを最初にオープンした2000年代と現在では、利用者の傾向が大きく変わっているという。
「東中野にGRABAKAジムをオープンした当時は、格闘技ファンがたくさん集まってくれたんですよ。ちょうど僕がアブダビで優勝して、パンクラスでも(ライトヘビー級)チャンピオンになった後だったし、GRABAKAというチーム自体すごく勢いがあって、格闘技界で目立っていたので。ジム自体が、チームGRABAKAのファンクラブみたいな感じすらありました。
でも、今はまったく違いますね。格闘技ファンもいることにはいますけど、ほとんどが女性を含めたフィットネス目的の一般の人たちです。2000年代には、まだ『試合に出たい』『プロになりたい』みたいな人たちの割合が多かったんですよ。でも、PRIDEがなくなり、格闘技ブームが終焉して、そういう人たちが少なくなっていった。
逆に言えば、フィットネスとして通う人が増えたからこそ、今も格闘技ジムが続いてるんだと思います。そうじゃなかったら、格闘技ブームが去ってファンの人がいなくなった時点で、多くの格闘技ジムは続けられなくなってましたよね」