■人の輪が広がるワケ

「本にも書きましたけど、私はアルバイトを怒ったことがないんですよ。店の雰囲気が悪くなったら、それはお客さんにも伝わってしまうし、居心地の悪い飲食店なんて、絶対にあってはならないじゃないですか?

 だからアットホームなムードを大事にしているんですけど、それもあってか、とにかく従業員の定着率が良くて、24年前のオープン時からずっと働いていてくれる人をはじめとして、みんな在籍歴が長いんです。すでに辞めてしまったバイトの子も、ウチが忙しそうだ、という話を聞きつけると『週末だけお手伝いに行きましょうか?』と連絡してきてくれたりする。いまはどこの飲食店も人手不足で苦労しているようですけど、ウチは開店以来、人で困ったことはまったくないんですよ」(松永さん)

 そんな「人の輪」が広がるのも松永さんのブレない経営理念があるからだ。

 若いころは事業拡大に躍起になったこともあったが、いまでは「家族や従業員が辛い思いをするぐらいだったら、これ以上、儲からなくていい」と断言する。

「私はいまでも毎日、厨房に立っているので『忙しいなぁ、体がしんどいなぁ〜』と思うこともある。私がそう感じているということは、従業員のみんなもしんどいんですよ。そういうときはもう目先の利益を追わずに休店日を作って、みんなで体を休めるようにしています。従業員の健康と笑顔を守ることができれば……もう店の経営状態は現状維持がキープできれば、それでいいと思っています」(松永さん)

 実際に7月にも「コロナ対策のために消毒作業などを徹底した結果、従業員が疲弊してしまったため」という理由まで明示して、店休日を設けている。究極のホワイト企業ともいえる『ミスターデンジャー』。外食産業に逆風が吹く中でも、その足元は揺るがない。

(文・小島和宏)

※お店情報

 ステーキハウス『ミスターデンジャー』

<立花本店>

〒131―0043 東京都墨田区立花3-2-12 田中ビル1F

TEL:03―3614-8929

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