■スター同士が対決!

 PLのみならず、夏の甲子園は、多くのスター選手を生んだ。1974年の第56回大会では、準々決勝で鹿児島実業(鹿児島)と東海大相模(神奈川)が対戦。大会後、ともに“甲子園のアイドル”となり、やがて“巨人の大スター”にもなる、鹿実のエース・定岡正二と、東海大相模の主砲・原辰徳が相まみえた。試合は延長15回までもつれたが、5対4で鹿実が勝利。強力打線を相手に、15回を投げ抜いた定岡の力投が光る一戦だった。

 スター同士の対決といえば、1981年の第63回大会。これも、のちにプロ入りを果たす2人、報徳学園(兵庫)の金村義明と、早実(東東京)の荒木大輔の投げ合いも、球史に残る名勝負だろう。前年、1年生エースとして“大ちゃんフィーバー”を巻き起こしていた荒木。報徳のエースで4番だった金村は、こう振り返る。「当時の荒木は、同じ高校生でも超のつくスーパースター。でも、僕らにしてみれば1年後輩だし、めちゃくちゃジェラシーを感じていましたから、彼だけには絶対に負けたくなかった」

 両者、一歩も引かず、試合は0対0のスコアが続く投手戦に。均衡を破ったのは早実だった。「7回、8回でアッという間に4点取られて“もう負けた”と思いました。でも、諦めていたのは僕一人だけだったみたいです」(前同)

 その後、報徳が荒木を攻め、9回裏、土壇場で同点に追いつくと、延長10回サヨナラ勝ち。最後のホームを踏んだのは金村だった。「僕は、この試合で初めて“野球はチームでやるスポーツだ”と思い知らされました。エースで4番だったので、一人で野球ができると勘違いしていたのかもしれない。チームのすごさを感じました」(同)

 この後、金村は優勝投手に輝き、荒木に負けないスター選手となる。

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